「会社役員賠償責任保険(D&O保険)」とは保険期間中に役員の業務遂行に関して損害賠償請求を受けた場合の損害について、支払上限金額まで保険金が支払われる損害保険です。インドにおいても上場企業を中心に加入されています。
日本においては取締役等を被保険者として、当該保険を会社が保険会社と締結し保険料を会社負担とすることは利益相反取引として会社法で取締役会設置会社では取締役会決議、非取締役会設置会社では株主総会決議が要求されていますが、インドでは特別な手続きは要求されていません。
独立取締役(Independent Direcoter)に対する加入義務
インドの証券取引委員会(Security Exchange Board of India - SEBI)の定めるSEBI規制 (Listing Obligations and Disclosure Requirements) Regulationsにおいて、25条(10)項において2018年10月1日より前会計年度期末における時価総額上位500社の上場企業独立取締役に対して、D&O保険への加入を義務付けることとした。また、同規制25条(12)項において50億ルピー以上の非転換負債の上場残高のある上場会社についても「高額負債上場会社」として独立取締役に対しD&O保険への加入を義務付けています。但し、対象となるリスクと損害賠償の上限金額については会社側の裁量にゆだねられています。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |