会社を設立するまでにかかった費用は日本の会計基準では「創立費」と呼びますが、インドでは「Preliminary expense」と呼びます。インドに現地法人を設立する際には日本親会社がインド市場調査費用や法人設立費用を立て替えて支払い、法人設立後にインド子会社に経費精算することが一般的ですが、これらの費用はにインド子会社で損金算入できるのでしょうか?
Preliminary expenseのインド所得税法での取り扱い
1961年インド所得税法第35D条 / 2025年インド所得税法第44条では、インド内国会社やインド居住の個人は「事業開始前」または「事業開始後に事業拡大または新しいユニットの立ち上げ」に関して発生した以下の費用を5年間で均等に損金算入する旨を規定しています。
(a)以下に関連する支出
- 実現可能性を検討する報告書(feasibility report)の作成
- プロジェクト報告書の作成
- 市場調査、その他業務に必要な調査の実施
- 事業に関するエンジニアリングサービス
(b) 設立または事業の実行に関連するいかなる目的で、締結される契約書ドラフトの作成にかかる法務費用
(c) 会社である場合には以下の支出も含まれる
- 会社の定款のドラフト作成や印刷にかかる法務費用
- 2013年インド会社法の規定に基づいて会社登記するための手数料
- 公募による会社の株式または債券の発行に関連し、引受手数料、仲介手数料、目論見書のドラフト作成、タイピング、印刷および広告のための費用
(d) 別途規定されるその他の支出項目(インド所得税法の他の規定で損金や控除の対象となる支出ではないもの)
上記の(a)に関しては費用の明細の提出がForm 5(旧Form 3AF)にて求められます。また、損金算入限度額はプロジェクトコスト(cost of the project, 別途定義あり)の5%または、インド内国会社の場合には任意にて会社の事業に投下された資本額(capital employed in the business of the company, 別途定義あり)の5%です(1961年インド所得税法第35D条3項)(2025年インド所得税法第44条4項)。
会計上の取り扱い
これらのPreliminary expenseは会計上は設立初年度で一括費用計上することをインドの会計基準(Accounting Standard (AS) 26 56項(a))は求めています。一方で、税務上は5年で損金算入ですので、繰延税金資産(Deferred Tax Asset - DTA)が計上されます(Accounting Standard (AS) 22 Illustration I)。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |


