インドからインド国外への物品又はサービスの輸出はGST法上では、「zero rated supply」に該当し(IGST法第16条)、GSTはかかりません。インドのGSTが日本の消費税法と同様で消費地課税主義・仕向地課税主義を採用しているためです。
物品又はサービスの輸出に該当する取引の条件
「物品の輸出(export of goods)」とは物品をインド国外に持ち出すことを指し(同法第2条5項)、「サービスの輸出(export of services)」は下記条件をすべて満たす取引のことを指します(同法第2条6項)。
- 供給者がインドに所在している
- 受領者がインド国外に所在している
- サービスの供給地(Place of supply)がインド国外である
- サービスの供給者が当該サービス供給に対する対価の支払いを交換可能な外国通貨又はインド準備銀行の許可のもとインドルピーで受領している
- サービスの供給者と受領者が単なる別個の個人の事業所(establishments of distinct persons※)ではない。
※同一人物が下記の事務所を持つ場合は、その事業所が別個の個人の事業所(establishments of distinct persons)と扱われます(同法第8条 Explanation)。
- インド国内に事業所があり、インド国外にも事業所 または
- 州または連邦直轄領内の事業所と、その州または連邦直轄領外の他の事業所 または
- 州または連邦直轄領内の事業所と、その州または連邦直轄領内で登録されたその他の事業所
輸出取引時の対応
輸出取引については、2通りの対応方法があります。
- 輸出取引の前に保証状を差し入れてGSTの支払を免除する方法
- 一旦輸出にかかるIGSTを支払い、後日同金額の還付を受ける方法
1.で使用する保証状の様式は、Letter of Undertaking - LUT (Form GST RFD-11)と呼ばれています(CGST法細則第96A条)。LUTは差し入れた年度末(3月31日)まで有効です。よって、新年度になった際に新たなLUTを再度差し入れる必要があります。なお、LUTを差し入れた納税者が下記に該当する場合には、延滞利息とともにIGSTを納税する必要があります。
- 物品がインド国外へ輸出されない場合:輸出者の請求書発行日から3か月が経過する日から15日以内に延滞利息とともにIGSTを納税
- 輸出者がサービスの対価を兌換外国為替又はインド・ルピー建てで受け取れない場合:輸出者の請求書発行日から1年が経過する日から15日または外国為替法で認められた日付のいずれか遅い日付に延滞利息とともにIGSTを納税
また、輸出取引はGSTが免除されますが、それに対応する課税仕入れに対してはGSTの金額が含まれていることになるため、仕入れ税額控除を受けなかった金額については還付申請を行うことが可能です(CGST法第54条)。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |