ASMT-10とは?
ASMT-10は貴社が税務調査(Scrutiny Assessment)の対象となったことの税務通知です。GSTの納税者が月次や年次で自ら申告した申告内容(Self-Assessment)に対して、GST当局の担当官が精査し申告内容内の数値等に不一致があった場合に、納税者に対して発行される税務通知がASMT-10です(CGST法第61条1項、CGST法細則第99条)。ASMT-10にて、不一致の内容、不一致に関する説明要求、説明の回答期日(税務通知の発行日から30日以内又は担当官の許可した延長日)、が記載されます。また可能であれば、不一致に関連して支払うべき税金、延滞利息、その他の金額も併せて明記されます。
ASMT-10受領後の対応
納税者はASMT-10に記載の回答期日内にGST当局に対して下記のいずれかの説明を回答する必要があります。
(i)ASMT-10に記載された指摘事項に不服が無い場合
ASMT-10に記載の不一致に関連して支払うべき税金、延滞利息、その他の金額を支払った上で、その旨をGST当局にASMT-11というフォームで通知します。本回答内容にGST当局が納得すればこれ以上の進展はなく(CGST法第61条1項)、ASMT-12というフォームで本税務通知案件が完了したことがGST当局より知らされます(CGST法細則第99条3項)。
(ii)ASMT-10に記載された指摘事項に不服が有る場合
ASMT-10での指摘が不服な旨と納税者側の説明をGST当局にASMT-11というフォームで通知します。この説明にGST当局が納得すれば、ASMT-12というフォームで本税務通知案件が完了したことがGST当局より知らされます(CGST法細則第99条3項)。一方でGST当局が納得しうる説明を提供できなかった場合やASMT-10に記載の回答期日までに回答しなかった場合等には、下記のようなプロセスに進んでいきます(CGST法第61条3項)。④または⑤の場合は、DRC-1というフォームにて情報開示を求める通知(Show Cause Notice)が納税者に対して発行され、利息やペナルティーとともに追加納税額が必要な金額が示されます。
①GST監査(Audit by tax authorities)(CGST法第65条)
②GST特別監査(Special audit)(CGST法第66条)
③検査、捜索、押収(Inspection, search and seizure)(CGST法第67条)
④不正行為または故意の虚偽記載や隠蔽以外の理由による、未納付、過少納付、誤還付、誤利用された仕入税額控除の決定手続き(CGST法第73条)
⑤不正行為または故意の虚偽記載や隠蔽の理由による、未納付、過少納付、誤還付、誤利用された仕入税額控除の決定手続き(CGST法第74条)
ASMT-10を受領した場合は、まずは回答期日以内に適切にGST当局への回答することが重要です。ただ上記の①~⑤のような後続のプロセスも意識しながら、納税者の税務ポジションを明確にしたうえで首尾一貫した主張をGST当局に対して行っていく必要があります。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |