インドからインド国外への物品又はサービスの輸出をする場合、GST法上では「zero rated supply」に該当し(IGST法第16条)、GSTはかかりません。詳細はこちらの記事をご参照ください。ただ、仲介サービスを供給する際はインドからインド国外に供給した場合であっても、取り扱いが異なり、GSTが課税されるため注意が必要です。
仲介サービス(Intermediary services)とは
IGST法第2条13項では仲介サービス(Intermediary services)を下記の通り、定義しています。
「仲介業者」とは、ブローカー、代理人、その他名称の如何を問わず、2人以上の者の間で商品、役務またはその両方、あるいは有価証券の供給を手配または促進する者を意味するが、自己勘定で当該商品、役務またはその両方、あるいは有価証券を供給する者は含まれない。
なお、この定義に関しては以前より、どのサービスが仲介サービスに該当し、どのサービスが該当しないのかは議論の対象となっております。間接税・関税中央委員会(Central Board of Indirect Taxes and Customs - CBIC)は2021年9月20日付で通達(Circular No. 159/15/2021)を発し、Intermediary servicesの概念を解説しています。この通達では下請け契約(Sub-contracting)は仲介サービスに該当しないと明記しています。また、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)や製品のアフターサービスやカスタマーケアーサービスの外注を請け負う企業も仲介サービスを供給しているとはみなされないと考えられます。一方で、日本親会社が直接インド顧客に製品を販売する際に、インド子会社がインド市場を開拓し、販売量に応じて日本親会社より販売コミッションを受け取る場合はインド子会社が仲介サービスを供給していると考えられます。インド子会社がコミッションビジネスを行うケースは日系企業でもよく見られます。
インド国外への仲介サービスへのGST課税
GST法では、サービスの供給者または受領者のいずれかがインド国外にいる場合、仲介サービスのサービスの供給が行われる場所(Place of Supply)はサービス供給者の場所とする、と規定しています(IGST法第13条8項)。つまり、インド子会社(インド国内企業)が日本親会社(インド国外企業)に仲介サービスを行う場合、そのサービスはインド子会社の所在地であるインド国内で行われたとみなされることになります。よって本仲介サービスはサービスの輸出には該当せず、GSTの課税対象となります。
そのため、インド子会社が日本親会社に販売コミッション等の仲介サービスを請求する際にはGSTを含めた金額で請求書を作成することが求められます。インド国外への仲介サービスはサービスの輸出に当たると整理しGST分を請求していなかったものの、数年後にGST税務当局から指摘を受けてしまい、利息も含めてGSTの納税をすることになってしまったケースは、日系企業でも散見されますので、ご注意ください。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |