まず、建物や土地の購入は基本的には物品の供給(Supply of Goods)には該当せずGSTはかからない(CGST法スケジュールⅢ )一方で、建物や土地のリースや賃貸はサービスの供給(Supply of Services)に該当し、GSTの課税対象となる(CGST法スケジュールⅡ )というのがGSTの基本的な考え方です。
居住用の家賃払いのGST
2017年7月12日~2022年7月17日までの取り扱い
間接税・関税中央委員会(Central Board of Indirect Taxes and Customs -CBIC)は2017年6月28日付で通達(No.12/2017)を発し、居住用住居の賃貸によるサービスはGSTが非課税となると発表していました。そのため、貸し手が居住用住居を賃貸し、借り手が住居用に使用する場合にはGSTはかかりませんでした。
2022年7月18日以降の取り扱い
2022年6月28日と29日に第47回GST協議会(GST Council)が開かれ、GST登録者への居住用住居の賃貸によるサービスはGSTが非課税扱いではなくなりました(2022年7月13日付の通達(No.4/2022))。また、居住用住居の賃貸によるサービスの提供を受けるGST登録者は賃料に関するGSTをリバースチャージ方式(Reverse Charge Mechanism - RCM)で納める必要があると改正になりました(2022年7月13日付の通達(No.5/2022))。つまり、貸し手は賃料にGST18%分を加算することなく請求するものの、借り手が貸し手に賃料を支払う際には、別途GST18%分をGST税務当局に納税する必要があります。
上述の3つの通達を合わせて考えると、居住用住居の賃貸によるサービスのGSTの課税性は下記の表の通りにまとめられます。居住用住居の賃貸によるサービスの供給に関しては、借り手側がGST登録者か否かがGSTの課税性の判断のKeyとなると言えます。
貸し手 | 借り手 | 納税者 | 納税方法 |
GST未登録者 | GST登録者 | 借り手 | RCM |
GST未登録者 | GST未登録者 | なし | 非課税 |
GST登録者 | GST登録者 | 借り手 | RCM |
GST登録者 | GST未登録者 | なし | 非課税 |
オフィスや店舗等の商用の家賃払いのGST
上述の居住用以外の賃貸で貸し手がGST登録者の場合は、18%のGSTがかかります。このGSTの納税方法はリバースチャージ方式ではなく、通常の納税方法(Forward Charge Mechanism - FCM)での納税になります。つまり、貸し手が賃料にGST18%分を加算した金額で借り手に請求することになります。なお借り手側が貸し手に支払ったGSTは、仕入税額控除の利用のための諸々の条件(CGST法第16条)を満たす場合には仕入税額控除を使用することが可能です。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |