GST法では適格請求書(Tax Invoice)のほかにも、様々な書類を規定しております。取引内容に応じて作成する必要のある書類の名称が異なります。
Bill of Supplyとは?
Bill of Supplyとは、GST登録者が非課税の物品・サービスを供給する場合やCGST法第10条の規定する簡易課税制度(Composition levy)で納税する場合に、適格請求書(Tax Invoice)に代わって発行する必要のある書類です(CGST法第31条3項c号)。GTS登録者は自らが発行するBill of Supplyには下記事項を記載することが求められます(CGST法細則第49条)。
- 供給者の氏名、住所、及びGST番号
- 請求書番号:アルファベット、数字、特殊文字、ハイフン、ダッシュ、スラッシュ、及びそれらの組み合わせを含む、1系列または複数系列の16文字を超えない連続シリアル番号
- 発行日
- 買い手の氏名、住所、およびGST番号または(登録している場合)固有ID番号
- HSNコード/SAC
- 物品・サービスの概要
- (割引や減免がある場合)それを考慮した物品・サービス供給の課税価格
- 供給者またはその代表者の署名又は電子署名
また、GST登録者が課税供給及び非課税供給を同時にGST未登録者に行う場合には、適格請求書やBill of Supplyに代わって、Invoice-Cum-Bill of Supplyを発行します(CGST法細則第46A条)。
Receipt Voucherとは?
Receipt Voucherとは、GST登録者が物品・サービスを供給に際して前払いを受ける場合に、当該支払いを受領したことを証明するために発行する書類です(CGST法第31条3項d号)。GTS登録者は自らが発行するReceipt Voucherには下記事項を記載することが求められます(CGST法細則第50条)。
- 供給者の氏名、住所、及びGST番号
- 請求書番号:アルファベット、数字、特殊文字、ハイフン、ダッシュ、スラッシュ、及びそれらの組み合わせを含む、1系列または複数系列の16文字を超えない連続シリアル番号
- 発行日
- 買い手の氏名、住所、およびGST番号または(登録している場合)固有ID番号
- 物品・サービスの概要
- 前受金額
- 税率(CGST、SGST、IGST、Union territory taxまたはCess)
- 課税対象の物品・サービスに課される税額(CGST、SGST、IGST、Union territory taxまたはCess)
- (州間をまたぐ供給の場合)供給地(place of supply)の州名とその州コード
- 税金をリバースチャージ方式で支払うか否か
- 供給者またはその代表者の署名又は電子署名
ただし、前払い金を受領した時点で、税率が確定できない場合はGST率18%で支払われる必要があります。また供給の性質が確定できない場合には州をまたぐ供給として扱う必要があります。
Refund Voucherとは?
Refund Voucherとは、GST登録者が物品・サービスを供給に際して前払いを受ける際に上述のReceipt Voucherを発行したものの、物品・サービスの供給が行われず適格請求書を発行しない場合に、発行する書類です(CGST法第31条3項e号)。GTS登録者は自らが発行するRefund Voucherには下記事項を記載することが求められます(CGST法細則第51条)。
- 供給者の氏名、住所、及びGST番号
- 請求書番号:アルファベット、数字、特殊文字、ハイフン、ダッシュ、スラッシュ、及びそれらの組み合わせを含む、1系列または複数系列の16文字を超えない連続シリアル番号
- 発行日
- 買い手の氏名、住所、およびGST番号または(登録している場合)固有ID番号
- 還付対象の前払い受領時に発行したReceipt Voucherの番号と日付
- 還付対象の物品・サービスの概要
- 還付される金額
- 税率(CGST、SGST、IGST、Union territory taxまたはCess)
- 課税対象の物品・サービスに課される税額(CGST、SGST、IGST、Union territory taxまたはCess)
- 税金をリバースチャージ方式で支払うか否か
- 供給者またはその代表者の署名又は電子署名
Payment Voucherとは?
リバースチャージ方式での納税を行うGST登録者はSelf Invoice(CGST法第31条3項f号)及びPayment Voucher(CGST法第31条3項g号)を発行する必要があります。Payment Voucherはリバースチャージ方式での納税を行うGST登録者が物品・サービスの供給者に支払を行った際に、GST登録者が自らで発行する書類です。GTS登録者は自らが発行するPayment Voucherには下記事項を記載することが求められます(CGST法細則第52条)。
- 供給者の氏名、住所、及びGST番号
- 請求書番号:アルファベット、数字、特殊文字、ハイフン、ダッシュ、スラッシュ、及びそれらの組み合わせを含む、1系列または複数系列の16文字を超えない連続シリアル番号
- 発行日
- 買い手の氏名、住所、およびGST番号または(登録している場合)固有ID番号
- 還付対象の前払い受領時に発行したReceipt Voucherの番号と日付
- 支払った金額
- 税率(CGST、SGST、IGST、Union territory taxまたはCess)
- 課税対象の物品・サービスに課される税額(CGST、SGST、IGST、Union territory taxまたはCess)
- (州間をまたぐ供給の場合)供給地(place of supply)の州名とその州コード
- 供給者またはその代表者の署名又は電子署名
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |