サービスに関する納税義務はサービスの供給の認識日(Time of supply)に発生するため(CGST法第13条)、GSTではサービスの供給の認識日(Time of supply)は重要な概念の1つです。GST納税者がサービスの供給を継続して行う場合には、供給の認識日や請求書の発行日はどのように決定すれば良いのでしょうか?
サービスの継続的な供給(Continuous supply of services)とは?
まず、サービスの継続的な供給は「定期的な支払義務を伴う 3 ヶ月を超える契約に基づいて、継続的または反復的に供給され、または供給されることが合意されている役務の供給である(政府が通達により指定する条件に従って供給するサービスの供給を含む)」と定義されています(CGST法第2条33項)。3か月以上かかる工事契約のサービスや電話料金の契約に基づくサービス等がその具体例です。
サービスの継続的な供給を行う場合は下記の期日までにGST登録者は請求書を発行する必要があります(同法第31条5項)。なお1回きりのサービス供給の場合にはサービス供給から30日以内に請求書を発行するよう規定されていますが(CGST法第31条2項、CGST法細則第47条)、継続的なサービスの供給の場合はその限りではありません。
ケース別 | 請求書の発行期日 |
(i)支払期日が契約書から確認できる場合 | 支払期日まで |
(ii)支払期日が契約書から確認できない場合 | サービスの供給者が支払いを受ける前又は支払いを受けた時点 |
(iii)支払いがいずれかのイベントの完了に連動する場合 (例:建屋の1階が建設完了etc...) | そのイベントの完了日以前 |
またサービスの供給の認識日は下記のいずれか早い方と規定されています(同法第13条2項)。
- 請求書が同法第31条に規定された期間内に発行された場合:供給者が請求書を発行した日又は支払いを受領した日のいずれか早い日
- 請求書が同法第31条に規定された期間内に発行されていない場合:サービスの供給日又は支払いを受領した日のいずれか早い日
サービスの供給が完了していなくても、前受金を受領した時点がサービスの供給の認識日となることに注意が必要です。上記を踏まえて下記の事例を見ていきます。
【事例①】
契約で規定された支払日 |
20××年4月1日 |
実際に請求書が発行された日 |
20××年4月1日 |
請求書の支払が行われた日 |
20××年4月20日 |
サービスの供給日 |
20××年3月20日 |
まず、サービスの継続的な供給を行うGST登録者は、契約に規定された支払日と同日の「20××年4月1日」に請求書を発行しております。そのため、サービスの供給の認識日は供給者が請求書を発行した日「20××年4月1日」又は支払いを受領した日「20××年4月20日」のいずれか早い日になります。そのため、サービスの供給の認識日は「20××年4月1日」という整理になります。
【事例②】
契約で規定された支払日 |
20××年4月1日 |
実際に請求書が発行された日 |
20××年4月10日 |
請求書の支払が行われた日 |
20××年4月20日 |
サービスの供給日 |
20××年3月20日 |
まず、サービスの継続的な供給を行うGST登録者は、契約に継続的なサービスに関する支払日が「20××年4月1日」と規定されているため、請求書を「20××年4月1日」付で発行する必要がありました。ただ実際に請求書が発行されたのは「20××年4月10日」であったという事例です。
この場合、サービスの供給の認識日は、請求書がCGST法第31条に規定された期日内に発行されていないため、サービスの供給日「20××年3月20日」又は支払いを受領した日「20××年4月20日」のいずれか早い日となります。そのため、サービスの供給の認識日は「20××年3月20日」という整理になります。
【事例③】
契約で規定された支払日 |
なし |
実際に請求書が発行された日 |
20××年4月10日 |
請求書の支払が行われた日 |
20××年4月20日 |
サービスの供給日 |
20××年3月20日 |
まず、サービスの継続的な供給を行うGST登録者は、支払期日が契約書から確認できないため、サービスの供給者が支払いを受ける前までである「20××年4月20日」までに請求書を発行すべきです。請求書の発行日「20××年4月10日」はですので、規定通りに請求書が発行されていることになります。
この場合、サービスの供給の認識日は、請求書がCGST法第31条に規定された期日内に発行されているため、サービスの供給の認識日は供給者が請求書を発行した日「20××年4月10日」又は支払いを受領した日「20××年4月20日」のいずれか早い日になります。そのため、サービスの供給の認識日は「20××年4月10日」という整理になります。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |