インド高速鉄道プロジェクトに代表される日印政府間で合意されたプロジェクトに関して、民間の日系企業がインド政府又はインド政府系企業(以下、政府系企業等)と取引を行うことがあります。政府系企業等とのコンサルティングサービス取引に関して支払いを受ける際又は支払いをする際の源泉徴収税(Tax Deducted at Source - TDS)の取り扱いはどのようになるのでしょうか?
民間企業から政府系企業等にコンサルティングサービスを提供する場合
インド高速鉄道プロジェクト等の政府プロジェクトに関して、民間企業が政府系企業等に対してプロジェクト管理や技術的なアドバイスを行うことがあります。これらのコンサルティングサービスは技術上の役務に対する料金(Fee for Technical Services - FTS)に該当します。1961年インド所得税法第9条1項(vii)号 / 2025年インド所得税法第9条7項a号では、インド政府から受領するFTSはインド国内で発生した又は発生したとみなされる所得であると規定しています。また、インド内国企業から受領するFTSに関しても、インド国内で発生した又は発生したとみなされる所得であると規定しています(当該インド内国企業がインド国外で行う事業に利用される又はインド国外で所得を得る目的で利用されるFTSの支払いを除く)。インド国内のプロジェクトに関してコンサルティングサービスを行う場合は、日本法人がインド現地に赴かず日本国内のみでコンサルティングを行っていた場合であっても、インド国内源泉所得に該当するため注意が必要です。
なお、1961年インド所得税法第10条 / 2025年インド所得税法第11条およびSchedule IIIでは、総所得に含まれない所得が規定されています。政府系企業等に提供するコンサルティングサービスがこの項目のいずれかに該当する場合や、租税条約で別段の定めがある場合には、非課税となります。
加えて、政府系企業等と民間企業間の契約書に租税に関する別段の定め等が規定されており、政府系企業等がインド所得税当局から免税に関する証明書等を取得しているような場合はこの限りではないので、契約書等の文言を確認することが重要になります。
政府系企業等から民間企業にコンサルティングサービスを提供する場合
次に政府系企業等が民間企業にコンサルティングサービスを行い、民間企業が対価を支払う場合です。利息、下記機関等が所有する株式に関する配当金、その他の所得が下記に支払われる場合には、TDSの源泉徴収は不要です(1961年インド所得税法第196条)(2025年インド所得税法第393条5項)。
- インド政府
- インド準備銀行
- 中央法に基づいて設立された法人でその所得に対する所得税が免除されているもの
- 一定の投資信託
なお、TDSの源泉徴収が不要となる取引をより詳細に規定するために直接税中央委員会(Central Board of Direct Taxes - CBDT)は2002年7月16日付で通達(No. 4/2002)、2015年4月23日付で通達(No. 7/2015)を発行しております。これらの通達で下記の条件を満たす場合の支払いにはTDSの源泉徴収は不要と規定されました。
- 1961年インド所得税法第10条に基づき無条件で該当する所得が免税となる取引の支払い かつ
- 所得税申告が不要となる事業体への支払い
さらに、CBDTは2017年5月29日付の通達(No. 18/2017)にてこれらの条件に該当する事業体を列挙しています。
執筆・監修
|
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
|
新井 辰和 | Tatsuo Arai |


