推定課税方式(Presumptive Taxation)とは事業所得を稼得する小規模の納税者に認められた、簡易課税方法です。インド所得税法は一定の事業所得を稼得する者に、事業に関する利益を適切に計算するための会計帳簿の作成・保管や、税務監査を受けることを求めております。ただ小規模の納税者にとって、適切に会計帳簿を作成・保管等することは負担が大きいことを考慮し、この推定課税方式を適用する場合には会計帳簿の作成・保管義務や税務監査を受ける義務が免除されます。
また、推定課税方式では一般的な方法(売上から関連する費用を差し引いて利益を求める方法)とは異なる事業所得の利益の計算方法が適用になるので、納税額も節税できる可能性があります。なお、一定の要件を満たす推定課税方式を採用する者が税務申告をする際には、Form ITR-4 (Form SUGAM)という様式で税務申告する必要があります。
推定課税方式を適用できる者
推定課税方式を適用できる者は下記の通りです。
①次の指定専門職(Profession)を営む一定のインド居住の個人やファーム(インド有限責任事業組合(Limited Liability Partnership - LLP)を除く)で年間売上等が500万ルピーまたは750万ルピー(現金取引が5%以下の場合)を超えない者(1961年インド所得税法第44ADA条)(2025年インド所得税法第58条2項 Table. No3)
- 法律
- 医療
- 工学
- 建築
- 会計
- 技術コンサル
- 室内装飾
- 情報技術
- 会社秘書役
- その他直接税中央委員会(Central Board of Direct Taxes - CBDT)が官報で通知する専門職
②課税年度のいかなる時点においても10台以下の貨物自動車を所有し、貨物自動車を運行、貸与またはリースする事業に従事している者(1961年インド所得税法第44AE条)(2025年インド所得税法第58条2項 Table. No2)
③①②に該当する者以外の一定のインド居住の個人やファーム(インド有限責任事業組合(Limited Liability Partnership - LLP)を除く)で年間売上等が2,000万ルピーまたは3,000万ルピー(現金取引が5%以下の場合)を超えない者(1961年インド所得税法第44AD条)(2025年インド所得税法第58条2項 Table. No1)
推定課税方式を適用する場合の事業所得の計算方法
上記①の指定専門職の事業所得
年間受領額の50%、または実際に稼得した利益の申告額のいずれか高い方
上記②の貨物自動車に関する事業者の事業所得
下記(i)(ii)の合計、または実際に稼得した利益の申告額のいずれか高い方
(i) 大型貨物自動車である場合:大型貨物自動車を所有していた月数ごとに、車両総重量または未積載重量1トン当たり1,000ルピー、または当該車両から実際に稼得されたと主張される金額のいずれか高い金額
(ii) 大型貨物自動車以外の貨物自動車である場合:貨物自動車を所有していた月数ごとに、7,500 ルピーまたは当該貨物自動車から実際に稼得したとされる金額のいずれか高い金額
上記③の事業者の事業所得
年間売上等の8%(年間売上等のうち、税務申告期日までに口座振出小切手、口座振出銀行為替手形、または銀行口座経由の電子決済システム、またはその他所定の電子的方法によって受領された金額に対しては6%)、または実際に稼得した利益の申告額のいずれか高い方
事業所得を稼得する者が事業所得額を計算する際には、一般的には事業の売上から関連する費用を差し引いた上で計算される利益を基に事業所得を求めます。ただ、この推定課税方式を適用する場合は、上記で求めた金額が事業所得となるため、さらに追加で関連する費用を差し引くことは基本的にできません。
また、上記③の事業者が推定課税方式を適用した場合には、後続5年は原則として推定課税方式を継続して適用することになります。万が一、後続5年のいずれかの年度で推定課税方式に基づいて適切に申告しなかった場合には、その利益を適正に申告しなかった課税年度の後続5課税年度において、推定課税方式の適用を受けられません(1961年インド所得税法第44AD条4項)(2025年インド所得税法第58条7項)。
また、後続5年のいずれかの年度で推定課税方式に基づいて適切に申告しなかった場合でかつ、課税所得が非課税限度額を超える場合には、会計帳簿の作成・保管、税務監査も適用となるため注意が必要です(1961年インド所得税法第44AD条5項)(2025年インド所得税法第58条8項)。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |


