同一州での複数のGST登録
同州において複数の事業所を有する者は、以下の条件に基づいて当該事業所ごとに別個のGST登録を行うことができます(CGST法第25条2項但し書き、CGST法細則第11条)。
- CGST法第2条85項の定義する事業の場所(Place of Business)を2つ以上有する
- CGST法第10条の規定する簡易課税制度(Composition levy Scheme)で納税をしていない
- 複数のGST登録を行う納税者が、同州内の異なる事業の場所間で物品・サービスの提供を行う場合には、GSTの納税を行いかつ適格請求書又はBill of Supplyを発行する
なお、同州において複数のGST登録を行う際には、GST REG-01という様式で別個の申請を行います。
他州での複数のGST登録
A州でGST登録が必要になる総売上(Aggregate Turnover)の基準値を満たしたために、A州でGST登録を完了後にB州で倉庫を契約したとします。そして、B州の倉庫から顧客まで物品を販売し輸送する場合に、B州単体ではGST登録が必要になる基準値(年間売上)を満たしていない場合であっても、B州でのGST登録が必要になるのでしょうか?
上記の場合のように、ある州においてすでにGST登録をしている納税者が別の州で支店や倉庫を構え、その拠点から課税供給(Taxable Supply)を行う場合には、その別の州でもGST登録を行う必要があると考えられます。CGST法第25条1項では、「GST登録の義務を負う者は、登録の義務を負うこととなった日から30日以内に登録の義務を負うすべての州で登録を申請しなければならない。」と規定しています。加えて、CGST法第22条1項では、「総売上(Aggregate Turnover)が一定の基準値を超える場合、すべての供給者は物品・サービスの課税供給(Taxable Supply)を行う州、連邦直轄地(一定の州を除く)にてGST登録を行う必要がある」と規定しております。よって、B州から課税供給(Taxable Supply)を行う場合には、B州でもGST登録が必要になります。
また、GST登録はその法人に割り当てられた納税者番号(Permanent Account Number - PAN)に紐づいて行われるため、B州の課税供給(Taxable Supply)が微小であっても当法人のPANベースで考えるとインド全土でGST登録基準値以上の総売上(Aggregate Turnover)があることで、B州もGST登録が求められます。
インドのGSTは日本の消費税法と同様で消費地課税主義・仕向地課税主義を採用しており、物品・サービスの最終消費者までGST課税は繰り越されていくため、A州で仕入れた物品からB州の倉庫に移動後に顧客に供給、輸送される際は、B州のGST番号から適格請求書が作成されるべきです。
なお、上記のように同一法人が同一州内また別州内で2つ以上のGST登録をしている者をGST法では「Distinct Persons」と呼びます(CGST法第25条4項)。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |