GSTの税務調査やGST税務裁判に際して、GST法に詳しくない納税者自身がGST税務当局の担当者とGST法に基づいて税務調査や訴訟手続きを進めていくのは現実的ではありません。そのため、GST法が宣誓に基づく尋問を行う目的で納税者自らに出頭することを求めていない限りは、納税者は専門家等を委任代理人(Authorised Representative)に選任することができます(CGST法第116条1項)。納税者の署名権限者が委任状(POWER OF ATTORNEY)に署名することで委任代理人を選任した上で、GST税務当局に提出します。
GST税務調査の際は、GST税務裁判に発展することも想定した上で首尾一貫した主張を展開していくことが求められるため、GST税務調査の初期段階から専門家と協力しながら適切な回答をGST税務当局に行っていくことが重要です。
委任代理人(Authorised Representative)になれる者
納税者が委任代理人として選任することができる者は下記の通りです(同法第116条2項)。
- 親族または正規雇用者
- インド国内の裁判所において業務を行う権利を有し、インド国内の裁判所において業務を行う資格を剥奪されていない弁護士
- インド勅許会計士(Chartered Accountant)、原価計算会計士(Cost Accountant)、会社秘書役(Company Secretary)で、実務証明書を所持しかつ、実務禁止処分を受けていない者
- 州政府等の退職職員で2年以上の期間に一定の役職に就いていた者で退職又は辞任の日から1年以上が経過している者
- GST登録者に代わってGSTの実務執行者として行動する権限を与えられた者
ただし、以下の者は委任代理人として選任することができません。
- 官職から解雇又は免職された者
- GST法等に基づく手続に関連する犯罪で有罪判決を受けた者
- 一定の政府当局により不正行為で有罪とされた者
- 破産者として宣告された者はで支払不能が継続している期間にある者
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |