様式GSTR-1とは、物品・サービスの供給を行うすべてのGST登録者がGSTポータルから電子申告する必要のある供給明細書であり、物品・サービスの売上(供給)の詳細を申告します(CGST法第37条、CGST法細則第59条)。
なお、下記のGST登録者はGSTR-1の申告は求められていません。
- Input Service Distributor(CGST法第2条61項参照)
- 非居住納税者(Non-Resident Taxable Person)(CGST法第2条77項参照)
- 簡易課税制度(Composition levy Scheme)を採用する者(CGST法第10条参照)
- オンライン情報データアクセス・読み込み(Online Information Data Base Access and Retrieval - OIDAR)サービス提供者(IGST法第14条参照)
- TDS徴収義務者(CGST法第51 項参照)
- TCS徴収義務者(CGST法第52 項参照)
QRMPスキームを適用している納税者を除き、GSTR-1の申告期日は翌月の11日です。また、GST登録者は該当月の売上(物品・サービスの供給)が無い場合であっても、Nil申告としてGSTR-1の申告が求められます。なお、GSTR-1の申告後は申告内容の修正はできないため、翌月以降のGSTR-1申告で修正を行う必要があります。加えて前月までのGSTR-1が申告されていない場合には、前月までの申告が完了するまでは当月のGSTR-1の申告はできません。
GSTR-1での申告内容
GSTR-1では下記の内容を申告する必要があります(CGST法細則第59条4項)。
(a) 以下のすべての請求書の詳細
- GST登録者に対する州間および州内の供給
- GST未登録者に対する請求書価格が25万ルピーを超える州間供給
(b) 以下のすべての詳細
- 各税率ごとのGST未登録者に対する州内供給
- 各税率ごとのGST未登録者に対して行われた請求書価額が 25万 ルピーまでの州間取引
(c) 過去に発行された請求書に対して当月に発行されたDebit Note又はCredit Note
GSTR-1申告の遅延に関する遅延金
GSTR-1の申告が遅延する場合には以下の遅延金(Late Fee)が日単位で課されます(CGST法第47条、 No. 4/2018 & No. 20/2021 – Central Tax)。
Nil申告以外の場合(2021年6月以降)
遅延金/日 |
最大遅延金額 (過年度の年間売上:~1,500万ルピー) |
最大遅延金額 (過年度の年間売上:1,500万~5000万ルピー) |
最大遅延金額 (過年度の年間売上:5,000万ルピー~) |
|
CGST法 | 25ルピー | 1,000ルピー | 2,500ルピー | 5,000ルピー |
各州SGST法 | 25ルピー | 1,000ルピー | 2,500ルピー | 5,000ルピー |
合計 | 50ルピー | 2,000ルピー | 5,000ルピー | 10,000ルピー |
Nil申告の場合(2021年6月以降)
遅延金/日 | 最大遅延金額 | |
CGST法 | 10ルピー | 250ルピー |
各州SGST法 | 10ルピー | 250ルピー |
合計 | 20ルピー | 500ルピー |
GSTR-1Aでの申告内容の修正
2024年7月から様式GSTR-1Aの使用が可能となり、GSTR-1を申告してからGSTR-3Bの申告期日(翌月の20日)までの間に当該GSTR-1で申告した内容を修正することができます(CGST法細則第59条1項但し書き)。GSTR-1では申告した月の物品・サービスの供給項目の修正や加筆が行えますが、GSTR-1A申告は必須ではなく、GST登録者の任意で申告することになります。一方で当月以前の過去のGSTR-1の申告内容は修正できずに、修正対象のGSTR-1はGSTR-3Bが申告されていないGSTR-1のみです。
GSTR-1A申告が実装されるまでは、供給者が一度申告したGSTR-1を修正したい場合は翌月のGSTR-1申告期日まで待つ必要がありましたが、GSTR-1A申告機能を使用することで供給者は同月にGSTR-1申告内容を修正することが可能になりました。このGSTR-1A申告機能の実装によって、供給者の物品・サービス供給の申告を起点に、受領者のGSTR-3Bでの月次申告までがよりスムーズに実現されることが期待されます。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |