GSTR-2Aとは
GSTR-2Aとは、GST登録者に対して自動的に生成される仕入れに関する税務申告書です。GST登録をしている取引先企業(売り手)がGSTR-1を介して売上申告をすると、その情報は仕入企業(買い手)のGSTポータル上のGSTR-2Aに自動的に取り込まれる仕組みになっています(CGST法細則第60条1項)。GSTR-2Aは自動生成される様式のため、GST納税者がGSTR-2Aを申告することや修正することはできず閲覧用の様式となっています。
GSTR-2Bとは
GSTR-2Bとは、2020年8月より運用が開始された様式です。GST登録をしている取引先企業(売り手)のGSTR-1申告後にGST登録者に対して自動的に生成される仕入れに関する税務申告書である点はGSTR-2Aと同様ですが、GSTR-2BはGST納税者が利用できる仕入税額控除額を確認するために使用されます(CGST法細則第60条7項)。なおGSTR-2Bは自動生成される様式のため、GST納税者がGSTR-2Bを申告することや修正することはできません。
GST納税者はGSTR-2Bを介して、自身の会計帳簿と利用可能な仕入税額控除を照合します。照合した結果、GSTR-2Bの示す仕入税額控除可能額と会計帳簿上の記録に差異がある場合は注意が必要です。なぜなら、GSTR-2Bに記載されていない請求書の仕入税額控除は、たとえGST納税者が取引先企業(売り手)に仮払いGSTとして支払っていても仕入税額控除を利用することが出来ないためです(CGST法第16条2項aa号、CGST法細則第36条4項)。よって、GST納税者(買い手)が取引先企業(売り手)が適切にGSTR-1で該当する仕入れの請求書を申告していないことを自らのGSTR-2Bで確認した場合は、取引先企業(売り手)に適切にGSTR-1で売上申告をするよう忠告する必要があります。日本の消費税法に比べ、インドのGST法は仕入税額控除の利用条件が厳しいという特徴があります。
またGSTR-2Aは、取引先企業(売り手)が売上申告を更新するたびにリアルタイムで内容が更新されていくため動的な性質です。一方で、GSTR-2Bは対象期間の翌月の14日に一度だけ生成され、その後はたとえ取引先企業(売り手)が売上申告を更新した場合であっても内容が更新されることはないため静的な性質と言えます。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |