GSTR-3BとGSTR-2A/2Bの不一致とは?
まずGSTR-3B及びGSTR-2A/2Bとはそれぞれ役割の違う税務申告書です。GST納税者はGSTR-2A/2Bで利用可能な仕入税額控除の額を確認した上で、GSTR-3Bにて特定の課税期間における GSTの概要を申告します。
2022年1月以降、GSTR-2Bに記載されていない仕入税額控除は、たとえGST納税者が取引先企業(売り手)に仮払いGSTとして支払っていても仕入税額控除を利用することができなくなりました(CGST法第16条2項aa号、CGST法細則第36条4項)。しかし、GST納税者が過年度に申告したGSTR-3Bにて、GSTR-2A/2Bが示す利用可能な仕入税額控除額以上の金額を申告していた場合には、GSTR-3BとGSTR-2A/2Bの不一致として税務調査通知を受ける可能性があります。
税務調査通知の自動化と対応方法
近年、GSTの税務調査は自動化が進められております。2023年5月から間接税・関税中央委員会(Central Board of Indirect Taxes and Customs - CBIC)は自動申告精査モデル(Automated Return Scrutiny Module)の導入を開始しました。自動申告精査モデルは※ACES-GSTバックエンドアプリケーションに統合され、データ分析を活用してGST申告書の矛盾やリスクを特定し、納税者にコンプライアンス違反があった場合に担当官に自動的にアラートを送信されます。※ACES-GSTバックエンドアプリケーションとは、CBICの電子政府構想の一環としてインドの間接税行政における納税者サービス、透明性、説明責任、効率性の向上を目的としたソフトウェア・アプリケーションです。
そのため、GSTR-3BとGSTR-2A/2Bの不一致があると自動申告精査モデルによって検知され、税務調査通知が発行されます。この税務調査通知はASMT-10という名称ですが、税務調査通知の受領後の対応方法はこちらをご参照ください。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |