GST税率には主に4種類(5%,12%, 18%, 28%)の税率が存在し、一定の品目や取引に対しては0%の税率が適用されることもあるため、合計5種の税率が存在することになります。インド国民生活の負担を考慮した上で、生活必需品等には低い税率が課せられる傾向にあり、たばこや車などの嗜好品には最高税率の28%が課されます。
各物品・サービスの提供に関するGST税率はHSNコード / SACに紐づける形で、GST協議会にて品目や取引ごとに設定及び変更が決定されます。よって、GST登録者は提供する物品・サービスの該当HSNコード/SACを確認の上、どの税率で課税する必要があるか確認することになります。間接税・関税中央委員会(Central Board of Indirect Taxes and Customs - CBIC)は2017年7月のGST導入に先立ち、2017年6月28日付で各物品に関しては通達Notification No. 1/2017-Central Tax (Rate)を、各サービスに関しては通達Notification No. 11/2017-Central Tax (Rate)を発行し、CGST法に基づいた各物品・サービスの税率を公表しました。その後、一部の物品・サービスのGST税率は変更が発表されており最新のGST税率はCBICのWebページから確認ができます。
GSTの軽減税率5%が対象のサービス
最も多く採用されているGST税率は18%ですが、一部の物品・サービスに関しては軽減税率5%が採用されています。例えば、2023年12月時点ではレストランでの食品の提供サービスにかかるGSTは5%です(ホテル内に併設するレストラン等の場合は18%であり一部の例外あり)。GST導入当初には、上述の通達Notification No. 11/2017-Central Tax (Rate)では、基本的にレストランでの食品の提供サービスは12%もしくは18%と規定されていましたが、CBICは2018年7月26日付で通達Notification No. 13/2018-Central Tax (Rate)を発行し、GST税率を5%に変更しました。
ただ注意が必要なのは、以前まで認められていた食品提供サービスを行う上で必要な仕入れに関して払った仮払GSTの仕入税額控除が、この税率の変更に際して認められなくなった点です。つまり以前まではレストランオーナーは顧客に18%で仮受GSTを徴収し仕入れ時に支払った仮受GSTと相殺した上でGSTを納税していた一方で、現在は顧客に軽減税率の5%で仮受GSTを徴収し、仮払GSTと相殺することなく納税を行うことになります。
レストランでの食品提供サービスは、GSTの軽減税率5%が適用になる物品・サービスの一具体例に過ぎません。食品提供サービスのように、軽減税率が適用できる場合であっても仕入税額控除が使用できないと規定されているケースがあるため、対象取引ごとにGST税率のみならずその軽減税率の適用条件も確認することが求められます。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |