GSTの納税額の管理は電子化が進んでおり、GST納税者はGSTポータルと呼ばれる共通ポータルから、その月のGST納税額や利用可能な累積仕入税額控除額等を簡単に確認が可能です。GST登録者が銀行を通して納税した税額がGSTポータル上で反映される電子台帳が、「電子現金台帳(Electronic Cash Ledger)」です。なお、複数州でGST登録をしている納税者のGST納税額は州ごとで管理されるため、GSTポータルのログイン情報も州ごとに付与され、電子現金台帳も州ごとに作成されます。
この電子現金台帳の情報がGSTポータルで閲覧可能な納税義務の電子登録一覧(Electronic Liability Register)に反映されることで、月次の納税義務が解消され、GSTの月次申告(GSTR-3B)の準備が整うことになります。なお、納税義務が解消される順番は下記の通り定まっており、より順位の高い納税義務が解消されるまでは、下位の納税義務が解消されることはありません(CGST法第49条8項)。言い換えれば、当月以前の納税義務が解消されるまでは更正処分通知(Order of Assessment)で更正処分処分を受けたGST納税義務の支払いはできません。
- 当月より前のGST申告に関する納税額
- 当月のGST申告に関する納税額
- CGST法第73条及び74条に基づき下された更正処分通知等の金額
電子現金台帳(Electronic Cash ledger)の詳細
電子現金台帳はForm GST PMT-05という様式でGSTポータル上で確認ができます(CGST法第49条1、3項、CGST法細則第87条1項)。なお、電子現金台帳の内容に不一致がある場合にはForm GST PMT-04にてGST当局まで通知する必要があります(CGST法細則第87条12項)。
月次のGST納税額、延滞利息、ペナルティ、遅延金、更正処分額等に対して銀行を通して納税した金額が電子現金台帳上でElectronic Cashに転換されます。銀行を通して納税する際はGSTポータルにて納税Challan(Form GST PMT-06)を生成しますが、この納税Challanの有効期限は15日のため、納税challanを生成後は15日以内に納税を完了させる必要があります(CGST法細則第87条2項)。なお、納税Challanには州またぎGST(Integrated GST - IGST)、州GST(State GST - SGST)、中央GST(Central GST - CGST)等の納税するGSTの種類や納税州が記載されますが、誤った種類のGST区分で納税してしまった場合や誤った州に納税してしまった場合には、Form GST PMT-09という様式でGSTポータル上にて、正しいGST区分や正しい州の納税にElectronic Cashを移行(Transfer)させることができます(CGST法細則第87条13、14項)。
なお、CGST法細則第87条3項はGSTの納税方法として下記の方法を列挙しています。
納税方法 | 対応可能な銀行 |
インターネットバンキング | 公認銀行(Authorized Banks) |
統合決済インターフェース(Unified Payment Interface - UPI) | すべての銀行 |
即時支払サービス(Immediate Payment Services - IMPS) | すべての銀行 |
クレジットカード又はデビットカード | 公認銀行(Authorized Banks) |
全国電子送金サービス(National Electronic Fund Transfer - NEFT)又は 即時グロス決済(Real Time Gross Settlement - RTGS) | すべての銀行 |
1課税期間につき1万ルピーを上限とし、銀行窓口での現金/小切手/送金小切手 |
公認銀行(Authorized Banks) |
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |