セス(Cess)とは、事前に決定された特定目的のために徴収される税金であり、インド憲法第270条の規定により連邦と州の税配分プールからは除外され、財源は連邦に独占的処分権が認められています。GSTの補償セス(Compensation Cess)以外にも、インド所得税法の健康教育目的税(Heald and Education Cess)、輸入セス、原油セス等があります。
日本で言うところの、東日本大震災の復旧・復興等のために実施される直轄・補助事業の地方負担額を実質ゼロにするため、通常の特別交付税とは別枠で平成23年度に創設された「震災復興特別交付税」等をイメージすると分かりやすいかもしれません。
補償セス(Compensation Cess)
従来、州毎に異なった間接税体系が2017年7月からGSTに一本化されました。GSTの導入に伴って、州財政の税収損失を補償する目的で設定されたセスがGSTの補償セス(Compensation Cess)です。インド財務省(Ministry of finance)は2017年6月28日付で、通達Notification No.1/2017-Compensation Cess (Rate)を発行し、たばこ等の特定の物品やサービス供給に補償セスを課すことを発表しました。対象となるセス税率は対象物品・サービスによって様々です。
GST協議会(GST Council)の勧告で、当初、補償セスが課せられるのはGSTの導入から最初の5年の2022年6月30日までとされていました。しかし、2020年10月に開催された第42回GST協議会及び2021年9月に開催された第45回GST協議会で、補償セスが課される期限を2026年3月31日まで延長することが決議されました。際して、インド財務省(Ministry of finance)は2022年6月24日付で通達No. 1/2022–Compensation Cessを発し、補償セスの2026年3月31日までの延長を発表しました。
セスは通常のGSTと同様で、CGST法第15条の規定する課税対象の供給価額(Value of Taxable Supply)を基に、物品・サービスごとに規定された税率で計算されます。また、仮払セスに対しても仕入税額控除(Input Tax Credit - ITC)を使用することはできますが、仮受セスとのみ相殺が可能です。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |