インド内国法人や税務ステータスが通常の居住者(Resident Ordinary Resident)である個人の場合は、全世界所得がインドでの課税範囲となります(インド所得税法第5 条)。そのため、該当会計年度中にインド国外で稼得した課税所得もインドでの所得税申告に含めて申告をする必要があります。また、インド外国法人であってもインド国内源泉所得を稼得する場合は、一定の場合を除きインドでの所得税申告が必要となります。
外貨建ての課税所得の換算方法
インドで所得税申告をする際には、外貨建ての課税所得をインドルピーへ換算することになります。外貨建ての課税所得は下記の「特定の日付」のState Bank of Indiaの電信買相場(Telegraphic Transfer Buying rate - TTB)で為替換算します(インド所得税細則第115条、26条)。
- 給与所得(Salaries):給与の支払期日の月又は前払いもしくは後払いされる月の前月の最終日
- 利子所得(有価証券の利子)(Interest on securities):利子所得の発生する月の前月の最終日
- 不動産所得(Income from house property)、下記4.以外の事業所得(Profits and gains of business or profession)、その他の所得(Income from other sources):該当会計年度の最終日(3/31)
- 船舶運航事業に従事する非居住者の事業所得(Profits and gains of business or profession):事業所得の発生する月の前月の最終日
- 配当所得(Dividends):配当が宣言、分配、又は支払われる月の前月の最終日
- 譲渡所得(Capital gains): 資産が譲渡される月の前月の最終日
一方で上記の外貨建ての所得の内、下記のインド所得税細則第26条に基づいて源泉徴収税(Tax Deducted at Sources - TDS)が源泉徴収された所得に関する「特定の日付」は源泉徴収されるべき日付となります。
外貨建ての課税所得支払に関するTDSの計算方法
「インド国外の納税者」、「国際金融サービスセンター(International Financial Services Centre - IFSC)のUnit」又は「IFSCのUnitからインド国内の納税者」への外貨建ての課税所得支払時にTDSを源泉徴収する際には、源泉徴収されるべき日付のState Bank of IndiaのTTBで課税所得を為替換算し、TDS額を求めます(インド所得税細則第26条)。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |