GST税務当局がGST登録者に対して発行した更正処分通知等に記録上明白な誤りがある場合、GST税務当局はその内容を修正することができます(CGST法第161条)。偶発的なミスや不作為に起因する事務的又は算術的な誤りの場合であれば通知等が発行されてから3か月以内、それ以外の誤りの場合であれば通知等が発行されてから6か月以内に修正が行われます。
修正の対象となる「記録上明白な誤り」に関する具体的な定義はGST法上では示されてはいませんが、一般的に法律上の誤り、事実誤認、事務的又は算術的な誤りが該当すると考えられます。納税者の文書での回答が全く考慮されず更正処分通知が発行された場合や、GST税務当局の担当官が条文上での例外規定を適切に認知しておらず更正処分通知が誤って発行された場合には、修正依頼の対象となると考えられます。一方で、GST税務当局との条文上の解釈の相違があるような場合には、「記録上明白な誤り」があるとは言えないため修正依頼の対象とはなりません。
この修正はGST登録者からの修正依頼に基づいて修正がされることも、GST税務当局の担当官が自発的に修正することもあります。GST登録者からGST税務当局に修正依頼をする場合は、通知等が発行されてから3か月以内に行う必要があります。修正依頼に基づいて更正処分通知が修正された場合や更正処分通知が引き下げられた場合には、FORM GST DRC-08と呼ばれる様式で通知されます(CGST法細則第142条7項)。ただ、実務上はCGST法第161条に基づくこの修正を承諾してはくれないGST税務当局の担当官もいるのが実情です。明らかに通知の内容が誤っているにも関わらず修正を承諾してもらえない場合や、条文上の解釈の相違を争う場合には訴訟の場での不服申し立てを行うことを検討する必要が出てきます。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |