マネーロンダリングを防止し、ブラックマネーを排除することを目的とした規制がインド所得税法には多く用意されています。その1つとして、納税者は会計帳簿に記録された入金額の性質及び入金元に関して説明を行うよう所得税当局から求められる場合があります。そのため、日頃から適切に会計帳簿を整理した上で、不明な入金があった際にはその都度確認を行い、入金の性質及び入金元を明らかにしておくことが求められます。
入金に関する説明義務
以下では、インド所得税法が求める入金に関する納税者の説明義務のコンプライアンスについて説明します。会計帳簿に記録された入金額のうち、納税者がその入金の性質(nature)及び入金元(source)に関して説明できない場合や所得税当局の担当官に満足のいく説明が提供できない場合には、その入金額は入金を受けた納税者側の所得として、課税対象となります(1961年インド所得税法第68条)(2025年インド所得税法第102条)。
また、借り入れや出資に関する入金に関して、納税者には、その貸主や出資者が貸付金や出資に充てた原資の性質及び入金元の説明までも求められています。この、貸主や出資者が用意した原資自体の原資のことを「Source of Source」と呼びますが、下記の具体例で説明します。なお、出資に関するこの出資元の原資の説明は、納税者が会社(上場会社を除く)であり、かつインド居住者からの出資である場合には説明義務の対象です。一方で、借り入れに関してはインド居住者のみならずインド非居住者からの借り入れも説明義務の対象となっています。
具体例:非上場会社であるインド法人Aは、インド法人BからINR 100万の出資を受けました。インド法人Bがこの出資にあたり用意したINR 100万自体に関する原資が「Source of Source」にあたります。つまり、インド法人Bがこの出資にあたり用意したINR 100万の原資の性質及び(インド法人Bへの)入金元の説明を行う義務が、出資を受けたインド法人Aにあります。
税務調査官が、納税者はある入金額に対して満足のいく説明をしていないと判断した場合には、その入金額に対して基本税率60%、加算税25%(2016年財政法第2条9項但し書き)、健康教育目的税4%が分離課税として課せられ、実効税率は78%に及びます(1961年インド所得税法第115BBE条1項)(2025年インド所得税法第195条)。この入金額に対してはいかなる損金の計上、所得控除、繰越欠損金の相殺が認められていません。加えて、この十分な説明ができない入金額を納税者が所得税申告の際に自ら開示しておらず、税務調査を通して税務調査官が指摘した場合等には、税務調査担当官は税額の10%のペナルティを課すことができます(1961年インド所得税法第271AAC条)(2025年インド所得税法第443条)。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |


