インド所得税法第206AB条では源泉徴収対象の取引において、支払先が直近の税務年度において所得税申告を行っておらずかつ源泉徴収額が5万ルピーを超える場合には、源泉徴収税(Tax Deducted at Sources - TDS)として下記のいずれかの最も高い税率を適用する旨が規定されています。
- 税法上定められた税率の2倍の税率
- 租税条約や財政法で規定された税率(Rates in force)の2倍の税率
- 5%
なお、支払先がインドに恒久的施設(Permanent Establishment - PE)を有さないインド非居住者の場合や所得税申告義務のない者の場合には、この規定の適用外です。支払先が第206AB条の対象となるか(直近の税務年度において所得税申告を行っているか)は、税務当局のレポーティングポータルに自社のアカウントからログインした上で、支払先のPANを検索することで確認ができます。
この規定は、納税者の所得税の課税取引を所得税当局として正確に捕捉し、脱税や過少申告を牽制する狙いがあります。この規定と似て非なる規定として、インド所得税法第206AA条が定める「PAN番号を有しない者への対価支払時の源泉徴収税率」の規定もあります。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |