日本と比較し、インドは源泉徴収税(Tax Deducted at Sources - TDS)の対象となる費用の種類が多くあり、取引先に対価の支払いをする際には当該支払いがTDSの源泉徴収対象であるかを確認することが重要となります。TDSの源泉徴収対象にも関わらず、TDSの源泉徴収が漏れてしまった場合には、延滞利息が発生するのみならず、当該支払いに関する費用の事業所得(Profits and gains of business or profession)からの損金算入が一定額制限されてしまうことになるためです。TDSの源泉徴収漏れによって損金不算入となる金額は、支払い先が「インド居住者(インド内国法人)」か「インド非居住者(インド外国法人)」かでそれぞれ規定されています。
まずインド非居住者(インド外国法人)に対してTDSの源泉徴収対象となる利息、ロイヤリティ、技術上の役務に対する対価(Fee for Technical Service - FTS)又はその他インド所得税法で課税される支払を行う際にTDSの源泉徴収が漏れた場合や源泉徴収したものの所得税当局への納税を所得税法の期日まで行わなかった場合には、その費用の全額100%が損金不算入となります(インド所得税法第40条a項i号)。
一方で、インド居住者(インド内国法人)にTDSの源泉徴収対象となる支払を行う場合で、TDSの源泉徴収が漏れた場合や源泉徴収したものの所得税当局への納税を所得税法の期日まで行わなかった場合には、その費用の全額30%が損金不算入となります(インド所得税法第40条a項ia号)。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |