インドに駐在していた当時に開設したインドローカル銀行の個人口座は、駐在員期間の終了後にビザの失効と併せて凍結されるのが一般的です。ただ、駐在員時代にインド現地で受け取っていた給与(インドルピー建て給与)が口座に残ったまま口座が凍結してしまい、口座残高を引き出せずに困ってしまうケースをよく聞きます。どのような対応が取れるのでしょうか。
非居住者口座(Non Resident Ordinary - NRO口座)の開設
インド準備銀行(Reserve Bank of India - RBI)が2011年6月9日付で発行した通達A.P.(DIR Series)Circular No 70は、インドの有効なビザを保持する外国籍の被雇用者はカテゴリーIの公認取引銀行(Authorized Dealer Category-I)で居住者口座(Resident口座)を保有できる旨を規定しています。さらに、外国籍の被雇用者がインドから帰任する際には居住者口座を閉じるよう求めています。雇用ビザの有効期限が切れるタイミングで口座が凍結されてしまうのはこのためです。
一方で、駐在員期間が終了し帰任される方は居住者口座を非居住者口座(Non Resident Ordinary口座 - NRO口座)に変更することができます。NRO口座への変更後は、当NRO口座から日本の銀行の個人口座に海外送金することになります。NRO口座からの海外送金は、1会計年度当たりUSD 1millionまで認められています(同通達 2(d))。NRO口座からの海外送金に関してはこちらもご参照ください。
なお、NRO口座への開設 / 変更方法は銀行によって取り扱いが様々ですので、詳細はご自身の口座のある銀行の支店までお問い合わせていただけると幸いです。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |