納税者はインド所得税当局から税務調査の対象に選ばれると、当局への提出が求められる書類や情報が記載された税務通知が納税者に届きます。税務調査は「納税者の所得税申告書の記載方法が誤っている場合」「納税者が所得を過小申告している場合」等の一定の条件に従って行われる手続きです。詳細はこちらの記事にまとめています。
この税務調査の手続きとは別に、インド所得税法は税務当局に納税者に対して情報開示を要請することができる権限を与えています(インド所得税法第133条)。この権限に基づいて納税者は当局より銀行口座明細、財産目録、所得の詳細、取引の詳細等を開示するよう要請されることがあります。当局は納税者のみならず、納税者の取引に関連する第三者である納税者の銀行や証券会社等に対しても関連する情報を開示するよう求めることができます。なお、インド所得税法は当局がこの税務通知を発行できる期日を特段定めておらず、当局はいつでも納税者等に対して税務通知を発行することで情報提供を要請することができます。
この情報開示の要請の際にはまず納税者等に税務通知が発行されますが、税務通知には比較的短期間(1週間等)で情報を提出するよう記載されることもあるため注意が必要です。税務通知が届いたにもかかわらず、当局への返答を怠った場合には以下のような対応を当局は取ることができます。
- 申告済みの所得税申告を無効とし、インド所得税法第148条に基づいて再調査(Re-Assessment)の税務通知を納税者に対して改めて発行する
- 納税者に対して修正申告をするよう求める
- インド所得税法第272A条2項に基づいて、納税者が情報を提出するまで500ルピー/日のペナルティを課す
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |