ITRとはインド所得税局へ提出する税務申告書を指す、Income Tax Returnの略。Returnとは英語で申告書を意味し、還付などの税金が戻ってくることを指すわけではない。日本では一般のサラリーマンは年末調整を行うことによって、個人での確定申告が免除されるが、インドでは全ての納税者に確定申告を行うことが義務付けられている。通常は、インド源泉の所得として給与・口座の利息(日本では考えられないが数%の利息がつくので年間結構な金額になります。)を合算して申告する。また居住ステータスによっては、全世界所得の申告が必要になるので専門家へ依頼し正確な申告を行うことをお勧めする。
インドの税務年度は、4月~3月を採用している。申告当該年度をFinancial Yearといい、申告書提出年をAssessment Yearと呼んでいる。つまり、2016年度の申告書は、2017年に提出するので常に1年ずつAssessment Yearが遅れてくることになる。税務調査の通知などを受領した場合には、いずれのFinancial Year又はAssessment Yearに対する通知を受領したのかをきちんと確認することが大切である。
<個人の申告>
申告期限:対象年度の翌年7月31日
<法人の申告>
申告期限:対象年度の翌年9月30日(移転価格対象企業は11月末まで延長)
法人については、インド居住企業並びに外国企業も同一の申告期限である。外国企業については、申告書へ署名するためのPANベースDSC取得に時間を要するので、余裕を持って準備を開始することが必要。
居住ステータスの区分
インドでは居住ステータスはインドへの滞在日数に応じて3つの区分に分類されています。居住か非居住かで大別され、居住者は更に非通常と通常の2つの区分に分類される。
<居住・非居住の区分>
以下のいずれかの要件に該当する者をインド居住者(Resident)とみなす。
- 当該年度合計182日以上滞在している者 または
- 当該年度合計60日以上滞在し、かつ直近4年度で365日以上滞在している者
<非通常の居住者(Resident Not Ordinary Resident-RNOR)と通常の居住者(Resident Ordinary Resident)の区分>
以下の判定を行い該当する場合は、通常の居住者(Resident Ordinary Resident)となります。
- 過去10課税年度のうち少なくとも2課税年度において居住者である場合、かつ
- 過去7課税年度中730日以上インドに滞在している場合
※インドの税務年度は4月1日~翌年3月31日となる。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |