2013年インド会社法では全ての事業体に法定監査(Statutory Audit)が義務付けられています。加えて、一定規模の売上のある納税者に対しては、インド所得税法第44AB条にてインド勅許会計士による税務監査(Tax Audit)が義務付けられています。
税務監査の期限は法人税の確定申告書(Income Tax Return)の提出期限の1ヶ月前と設定されているため(インド所得税法第44AB条説明書き)、インド国外関連者との国際取引のない企業の場合には9月30日、国際取引のある企業の場合には10月30日が期限となります。税務監査を受けなかった者又は税務監査レポートを提出しなかった者に対しては、インド所得税当局は売上の0.5%又は15万ルピーのいずれか低い方の金額をペナルティとして課すことができます(271B条)。
税務監査の対象
税務監査は事業を営む納税者で当該事業に係る総売上が1千万ルピー超の場合等には、税務監査の対象となります。いっぽうでこの適用基準は、次の要件を満たす場合には以下の表の通り緩和されます。納税者の現金取引を減らしたいという所得税当局の意図が見て取れます。
- 当該会計年度の現金収受が総収受額の5%以下である場合 かつ
- 当該会計年度の現金支払が総支払額の5%以下である場合
年度 | 適用基準額(総売上) |
2019年度 | 5千万ルピー超 |
2020年度以降(2021年度予算案で提案) | 1億ルピー超 |
なお、この税務監査対象となる基準総売上は事業を営む一般的な納税者の対象の基準であり(インド所得税法第44AB条1項a号)、同項b~e号では専門職(Profession)等の納税者に関する税務監査の基準を規定しています。
税務監査レポートの内容
インド所得税法以外の監査(2013年インド会社法での法定監査等)が義務付けられている納税者は、Form 3CA-3CDでの、それ以外の納税者はForm 3CB-3CDでの、税務監査レポートの提出が求められます(インド所得税法細則第6G条)。Form 3CDはPart A及びBの2部に区分され、Part Aでは企業の基本情報(企業名、住所、納税番号等)、Part Bには会計上の利益から法人税上の課税所得への調整の詳細が記載されます。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |