インドにおける株式譲渡手続きは、2013年インド会社法(Companies Act, 2013)及び付属定款(Article of Association - AOA)にて規定されています。一般的な株式譲渡手続きの流れは以下の通りになります。
一般的な株式譲渡手続きの流れ
- 付属定款にて、株式譲渡手続きにかかる制限事項を確認する。何らかの制限事項が存在する場合には、以後の手続きはその制限事項を順守する形で行う。
- 譲渡者は対象会社の株式を売却する意志があることを、取締役会に対して書面で通知する。
- 株式の譲渡価格を算定する。付属定款にその算定方法の指定がある場合には、その規定に則って行う。また、インド準備銀行の価格ガイドラインが適用される場合には、その規定に順じる。
- 株式の売却希望通知を受領した会社は、その他の株主に対して買取可能な株式数、譲渡価格、譲渡期限を通知する。
- その他の既存株主より引き受けの意思がないことを確認した後、譲受者との株式譲渡契約書(Form SH-4)を作成し・実行する(会社法細則第11条)。
- 株式譲渡契約書(Form SH-4)に対し、譲渡金額に応じた印紙を貼付する。
- 株式譲渡契約実行後、取締役会にて譲渡取引の通知を承認する。
増資・株式譲渡の際の株式評価について、インド準備銀行の株式評価ガイドラインに準拠する必要があるとの記載がありました。 上場企業(公開会社)についてはどのようになるのでしょうか?
非上場企業はRBI(インド準備銀行)の規定する価格ガイドラインに基づく株式評価、上場企業はSEBI(インド証券取引委員会)の規定する価格ガイドラインに基づく株式評価に基づいた価額での株式を発行・譲渡する必要があります。
SEBIのガイドラインに基づく発行価額は以下のいずれの金額の大きい金額を超える必要があります。
(i) The average of the weekly high and low of the closing prices of the
related shares quoted on the stock exchange during the six months preceding
the relevant date;
OR
(ii) The average of the weekly high and low of the closing prices of the
related shares quoted on a stock exchange during the two weeks preceding
the relevant date
価格ガイドラインの制度主旨としてはインド企業株式が不当に安価に売買され、インド国外に資本流出するのを防止することを目的としていることから非居住者同士の売買取引に関しては当ガイドラインは適用されません。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |