株主への資金還流の方法の一つとして、配当が選択されることがあります。以前のインド所得税法の規定上、配当を行う場合、配当を支払う会社側が配当分配税(Dividend Distribution Tax - DDT)の課税対象となっておりました。2020年に税制改正があり、2020年4月以降は配当を受け取る株主が課税対象となります。
2020年4月1日以降の取り扱い
2020年4月1日以降に支払われる配当に関しては、配当を受領する株主側でその他の所得として課税されます(1961年インド所得税法第56条2項i)(2025年インド所得税法第92条2項a)。なお、配当に関するその他の所得は総合課税されるため、税率は当該納税者に適用になる法人税率又は個人所得税率です。加えて、配当の支払いをインド居住者である株主に行う内国会社側には配当支払時に源泉徴収義務があり、支払額の10%を源泉徴収する必要があります(1961年インド所得税法第194条)(2025年インド所得税法第393条1項Table No.7)。
一方で、非居住者である株主が受け取る配当に対する税率は20%(+加算税、健康教育目的税)です(1961年インド所得税法第115A条)(1961年インド所得税法第207条)。なお、日印租税条約第10条2項では、配当を支払う法人の居住国で10%を上限に課税できると規定しており、この日印租税条約の規定はインド所得税法に優先して適用することができます。
参考:従来の制度(2020年3月31日までの取り扱い)
インド内国会社は、2003年4月1日から2020年3月31日までの間に配当宣言や配当支払を行った金額に対して、15%の配当分配税(Dividend Distribution Tax - DDT)を支払う必要がありました(1961年インド所得税法第115-O条)。なお、配当分配税の納税負担者は配当の支払企業であり、株主に対する課税はありませんでした。ただし、本税は日本が親会社の場合には親会社側で外国税額控除の対象とはならず、実質の二重課税となることが問題となっていました。2020年度財政法によって、この配当分配税は撤廃されることが発表されました。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |


