従来の制度(2020年3月31日までの取り扱い)
インド内国法人は、2003年4月1日から2020年3月31日までの間に配当宣言や配当支払を行った金額に対して、15%の配当分配税(Dividend Distribution Tax - DDT)を支払う必要がありました(インド所得税法第115-O条)。なお、配当分配税の納税負担者は配当の支払企業であり、株主に対する課税はありませんでした。ただし、本税は日本が親会社の場合には親会社側で外国税額控除の対象とはならず、実質の二重課税となることが問題となっていました。インド法人においても、配当分配税は法人税とは別個に支払わなければならず二重の費用となります。
2020年4月1日以降の取り扱い
2020年度財政法によって、配当分配税は撤廃されることが発表されました。2020年4月1日以降に受領する配当所得に関しては受領した株主側でその他の所得(Income from other sources)として、その納税者に適用になる法人税率又は個人所得税率で課税されます(インド所得税法第56条)。加えて、配当の支払企業は配当支払時に源泉徴収義務があり、配当支払企業は支払額の10%を源泉徴収し株主に対して支払います(インド所得税法第194条)。
一方で、非居住者が受け取る配当に対する税率を20%(+加算税、健康教育目的税)です(インド所得税法第115A条)。なお、日印租税条約第10条2項では、配当を受ける法人は支払国で10%を上限に課税できると規定しており、この日印租税条約の規定はインド所得税法に優先して適用することができます(インド所得税法第90条)。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |