インド国内で提供された、技術役務にかかる対価(Fee for Technical Service - FTS)は、インド所得税法第9条(vii)にてインド国内源泉所得とみなすと規定されています。
次に、日印租税条約第12条おいて技術役務にかかる対価は、その支払者の居住国内において生じたものとされており、支払者の居住地国に源泉があるとする「債務者主義」により源泉地が決定されます。また、これらが生じた締約国において、技術役務に対する料金の額の10%を上限に、当該締約国の法令に従って租税を課すことができるとされています。
源泉徴収の有無
インド法人は、日印租税条約に基づきインドから日本への送金時に上限税率である10%で源泉徴収を行う必要があります。
実務的な留意点としては、所得税法第206AA条にて源泉徴収対象の取引においてPAN番号が提供できない場合には下記のいずれかの最も高い税率を適用するという規定が存在します。
- 税法上定められた源泉税率
- 実効税率
- 20%
しかし、本規定に関しては一定の条件を満たすことによりその適用を免除することが可能(所得税法第細則第37BC条)になっています。一定の条件とは、居住者証明書(Tax Residency Certificate - TRC)やその他の受取企業の情報を提出することです。
インド側での申告義務
PAN(Permanent Account Number)の取得と税務申告は源泉徴収を伴う支払いを受け取る個人・会社(非居住者も含む)の義務があります。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |