事実背景
- Siemens Mobile Communications SPA(納税企業)はイタリア法の法律の下、設立された法人
- 納税企業は、通信事業者向けのマイクロ波通信装置の製造業に従事
- 納税企業は、インドの独立した通信事業者に上記装置(機器及びソフトウェアの両方を含む)を供給
係争の論点
- 税務担当官は税務調査の過程で、機器の据え付け、試運転及びメンテナンスは納税企業のインド国内関連会社( Siemens Public Communications Network Ltd - SPCNL)によって行われ、納税企業はインド国内にPEを有しているとみなす一連の契約はPEとみなすとの見解
- 上記理由により税務担当官は、インド国内で行われた据え付け、試運転及びメンテナンス契約により生じた所得はインド国内で課税されるべきであるとの結論であるが、機器の販売契約は納税企業と顧客の当事者同士の自己勘定取引(プリンシパル取引)であり、SPCNLによって提供された役務には影響を受けていないため当該取引がインド所得税法第9条1項(i)(インドに帰属する所得)の適用を受けるか否かが争点
判決
- 納税企業の役割はイタリアからの機器部品の供給に限られており、販売契約の締結、所有権の移転及び対価の受領はインド国外で行われたことに留意
- 加えて据え付け業務は、独立した契約に基づき納税企業の姉妹企業”SPCNL”により提供され、当該契約・業務にから生じる所得についてはインドで課税
- SPCNLは納税企業の自由に使用(disposal)できず、かつインドで納税企業の代理で契約を締結する能力を有さないため、SPCNLを、伊印租税条約の第5条にかかるPE(納税企業の)とみなすことはできず課税できないという判決が下されました。
[Siemens Mobile Communications SPA v. Deputy Commissioner of Income Tax, New Delhi] – [2019] 112 taxmann.com 219 [Delhi – Tribunal]
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