インド所得税法で課税対象である利子、配当、ロイヤルティ、役務対価等をインド非居住者や外国会社に海外送金する者は、源泉徴収税(Tax Deducted at Sources - TDS)を源泉徴収する義務があります。また、インドで課税されるか否かによらずインド非居住者やインド外国会社に海外送金する者は、一定の必要情報を開示する必要があり、インド居住者が外国会社に対してインド国内の銀行から海外送金を行う際には、銀行からForm 145(旧Form 15CA)及びForm 146(旧Form 15CB)という税務申告フォームの提出を求められます。
Form 145(旧Form 15CA)とは
Form 145はインド非居住者や外国会社への海外送金に関する宣言書であり、海外送金者は所得税ポータルからForm 145を申請する必要があります(1961年インド所得税法第195条6項、1962年インド所得税法規則第37BB条)(2025年インド所得税法第397条3項d号、2026年インド所得税法規則第220条)。インド所得税当局はForm 145を介して海外送金の内容や納税の有無をトラックすることが可能になります。
Form 145はPart AからPart Dまでの4パートに分かれております。課税対象を海外送金する場合で、年間の送金金額が50万ルピー以下の際にはPartAで、年間の送金金額が50万ルピー超の際にはPartBまたはPartCで必要情報を申告します。経費精算のための海外送金などでインドで課税対象とならない海外送金であってもPartDで必要情報を申告する必要があります。なお、2026年インド所得税法規則第220条3項では、Form 145が不要である海外送金も限定列挙しており、下記でまとめているインド準備銀行が提供する送金自由化スキーム(Liberalised Remittance Scheme - LRS)を利用した海外送金もForm 145が不要な海外送金の1つです。
Form 146(旧Form 15CB)とは
Form 146はインド勅許会計士が海外送金に対してインド所得税法又は租税条約が規定する税率の適用が適切に行われているかを証明する書類です。Form 145のPart Cの内容と連動しています。
インド所得税当局は海外送金者にインド勅許会計士から証明書を取得させることを通して、適切に税金が納税されていない金額を海外に送金される事態を防いでいます。なお、1会計年度で50万ルピー以下の海外送金をする場合には、Form 146の取得は必要なくForm 145のPart Aのみの申請が必要となります。
個人で海外送金する場合の例外
インド居住者である個人の海外送金に関してはインド準備銀行が提供する送金自由化スキーム(Liberalised Remittance Scheme - LRS)が適用され、年間25万USドルを超えない限り、Form 145及びForm 146の作成・取得は必要ありません。なお、上記金額を超える場合事前にインド準備銀行(RBI)の承認が必要となります。
過去にインドに駐在していたものの既に本国に帰任しており、現在はインド居住者でない方が、インドの銀行口座の残高をインド国外の銀行口座に海外送金するケースがあります。この場合は、NRO口座(非居住者口座)からの送金になり、送金自由化スキーム(Liberalised Remittance Scheme - LRS)は利用できずForm 145及びForm 146の準備をインドの銀行から求められます。Form 145及びForm 146を通してNRO口座の残高は、インドで適切に所得税を納税した後の残高であることを銀行に示すことになります。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |


