インド所得税法で課税対象である利息やその他の金額をインド非居住者やインド外国法人に海外送金する者は、源泉徴収税(Tax Deducted at Sources - TDS)を源泉徴収する義務があります(インド所得税法第195条1項)。また、インドで課税されるか否かによらずインド非居住者やインド外国法人に海外送金する者は、Form15CA又はForm15CBで必要情報を開示する必要があります(インド所得税法第195条6項)。よって、インド居住法人が銀行からインド外国法人に対して海外送金を行う際には、銀行からForm15CA及びForm15CBの提出を求められます。
Form 15 CAとは?
Form 15 CAはインド非居住者やインド外国法人への海外送金に関する宣言書であり、海外送金者は所得税ポータルからForm15CAを申請する必要があります。インド所得税当局はForm15CAを介して海外送金の内容や納税の有無をトラックすることが可能になります。
Form15CAはPart AからPart Dまでの4パートに分かれておりますが、経費精算のための海外送金などでインドでの納税が不要な海外送金であってもPartDは記載する必要があります(インド所得税法細則第37BB条2項)。よって、納税が必要か否かを問わず海外送金する際には、基本的にForm15CAの申請が必要となります。一方で、インド所得税法細則第37BB条3項ii号では、Form15CAが不要である海外送金も限定列挙しています。なお、個人がインド準備銀行が提供する送金自由化スキーム(Liberalised Remittance Scheme - LRS)を利用して海外送金する際にも、Form15CAは不要です(インド所得税法細則第37BB条3項i号)。
Form 15 CBとは?
Form 15CBはインド勅許会計士が海外送金に対してインド所得税法又は租税条約が規定する税率の適用が適切に行われているかを証明する書類です。インド所得税当局は海外送金者にインド勅許会計士から証明書を取得させることを通して、適切に税金が納税されていない金額を海外に送金される事態を防いでいます。
なお、1会計年度で50万ルピー以下の海外送金をする場合には、Form15CBの取得は必要なくForm15CAのPart Aのみの申請が必要となります(インド所得税法細則第37BB条1項i号)。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |