日本と同様、インドでも税務上で赤字の場合には繰越欠損金が発生し赤字額を8年間繰延べることが可能です(インド所得税法第72条等)。繰越欠損金が発生する場合は税効果会計も適用されます(インド会計基準 22)。
また、インドでは税務上赤字である場合、減価償却を損金として計上せずに将来に繰延べることが可能です(インド所得税法第32条2項)。減価償却の繰延べ(Unabsorbed Depreciation)は繰越欠損金(Carry forward of losses)と異なり繰延期限の制限は存在しない点が特徴です。
将来税務上の黒字が生じた場合には①繰越欠損金(Carry forward of losses)、②減価償却の繰延べ(Unabsorbed Depreciation)の順に将来の課税所得と相殺されます(インド所得税法第72条2項)。
下記が減価償却の繰延べの計算方法の例示になります。
×1年
収益 100
費用 160 (減価償却50含む)
利益 -60
→「繰越欠損金 10」 及び 「減価償却の繰延べ 50」となります。
×2年
収益 200
費用 170 (減価償却50含む)
利益 30
→「繰越欠損金 10」がまず利益 30と相殺され、その後「減価償却の繰延べ 50」が相殺されます。
→結果、「減価償却の繰延べ 30」が✖3年に繰り延べられることになります。
執筆・監修
![]() |
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
![]() |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |