インド所得税法第90条では二重課税の防止等のためインド政府と諸外国の政府が締結した条約の適用が認めています。納税者はインド国内法と租税条約のうち納税者にとって有利な方を選択することが可能です。なお、日本とインド間にも、日印租税条約が締結されています。
インド外国法人(日本法人等)がインド内国法人に対してサービス提供を行い、その対価をインドから海外送金してもらう際には、取引内容によってはインド側で源泉徴収税(Tax Deducted at Sources - TDS)が源泉徴収されます。このTDS税率を決定する際に日印租税条約が規定する軽減税率を適用するためには、外国法人は以下の書類・情報をインドの取引先企業に提出する必要があります。
- Form 10F
- 居住者証明(Tax Residency Certificate - TRC)
- No PE Certificate
まず、日本法人は居住者証明(Tax Resident Certificate-TRC)を日本の税務局から取得する必要があります(インド所得税法第90条4項)。次に、Form10F及びNo PE Certificateと呼ばれる書類にて納税者(日本法人)は居住区分が日本であること及びインドに恒久的施設(Permanent Establishment - PE)を保持していないことも併せて宣言する必要があります(所得税法細則第21AB条)。なお、Form10Fはインドの所得税ポータルで電子申告する必要があります。
インドでの所得税申告
日印租税条約の規定するTDS税率を使用する場合には、外国法人(日本法人等)がインドで所得税申告をする義務を負うため注意が必要です。インドでの所得税申告を避けるためには、取引先のインド企業に対して、日印租税条約のTDS税率でなく、インド所得税法第115A条に基づいて源泉徴収の上、対価を海外送金してもらうよう依頼する必要があります。詳細はこちらのWeb記事をご参照ください。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |