インドの取締役会(Board of Directors)は、取締役から構成されています。
取締役の人数と要件
取締役就任時には、取締役識別番号(Director Identification Number - DIN)の取得が必要です。
- 非公開会社(Private Company)では、最低2名
- 公開会社(Public Company)では、最低3名
※尚、上限は最大15名となっていますが、株主総会の特別決議を経て上限以上の人数を選任することも可能です。
取締役のうち最低1名は、居住取締役(Resident Director)である必要があります。また、国籍要件はないのでいずれの国籍(外国人)でも取締役に就任可能です。
取締役会の開催要件と定足数
1年間(暦年:1月~12月)に最低四半期ごとに1回、合計4回の取締役会の開催が義務付けられています。また、各回の取締役会の開催間隔は120日以内とする必要があります。
定足数は以下のいずれかの大きい人数となります。
- 全取締役人数の3分の1(端数切り上げ)
- 2名
合弁企業などでは2名の取締役でスタートすると相手方の同意がない場合、取締役会の開催が不可能になりますので注意が必要です。
開催方法
取締役会は対面又はビデオ会議方式のいずれかで開催可能です。但し、特定の議題については対面方式の決議が義務付けられており実際に召集する必要があります。また、株主総会と異なり開催地については制限はなくインド国内・国外のいずれの場所でも開催可能です。
<対面決議が必要な議題>
- 財務諸表及び取締役報告書の承認
- 目論見書の承認
- 監査委員会
- 合併・吸収・会社分割・買収などに関連する承認 等
取締役の失職
取締役は、破産等の一定の条件に該当した場合失職(vacant)します(インド会社法第167条)。特に留意が必要なのは以下の取締役会の欠席による失職です。
- 連続する12ヵ月間に行われた全取締役会を欠席するか、取締役会の承認を得ずに欠席した場合(会社法第167条1項(b))
マネージングディレクターの選任について
会社法第203条並びに、2014年会社規則(管理者(Key Managerial Person - KMP)の選任と報酬)第8条により、上場会社並びに払込資本金1億ルピー以上の公開会社(Public Company)においては常勤雇用の管理者を選任することが義務付けられています。管理者には以下の者が含まれます。
- マネージングディレクター(Managing Director)、CEO(Chief Executive Officer) 又はマネージャー(Manager)及び常勤取締役
- 会社秘書役(Company Secretary)
- CFO(Chief Financial Officer)
一方で、非公開会社(Private Company)ではそのような管理者の選任は義務付けられておらず、いずれかの取締役が会社を代表し業務を執行する権限を持つことが可能です。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |