法人税の課税所得の計算は日本と同様、会計上の利益に調整項目を加減算する方法で計算します。財務会計上はインド会計基準に基づいて会計記帳を行っていく一方で、税務上はインド所得税法の規定に基づいて課税所得を計算する必要があるためです。
所得計算開示基準(Income Computation and Disclosure Standards - ICDS)は、課税所得を計算するためのガイドラインです。ICDSもインドの一般に公正妥当と認められた会計原則(Generally Accepted Accounting Principles - GAAP)を構成すると考えられます。事業所得(Profits and gains of business or profession)及びその他の所得(Income from other sources)の課税所得を計算するために設定されており(インド所得税法第145条1,2項)、下記のICDS1からICDS10までの10つの基準で構成されています。
- ICDS I : Accounting Policies
- ICDS II : Valuation of Inventories
- ICDS II : Construction Contracts
- ICDS IV : Revenue Recognition
- ICDS V : Tangible Fixed Assets
- ICDS VI : Effects of Changes in Foreign Exchange Rates
- ICDS VII : Government Grants
- ICDS VIII : Securities
- ICDS IX : Borrowing Costs
- ICDS X : Provisions, Contingent Liabilities & Contingent Assets
ICDSに従うことでインド会計基準に基づいて会計記帳された会計記録と比較して、一部の収益や利益の認識を早めたり、一部の費用の認識が遅れさせたりする必要があります。税務上の事業所得を計算する際に会計上の利益との調整が必要となる主な項目は以下の通りになります。
損金不算入 |
|
損金算入 |
|
※減価償却の繰延(Unabsorbed Depreciation)は日本にはない考え方ですが、詳細はこちらの記事をご参照ください。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |