GSTの負担者である最終消費者の手元まで物品が届くまでのサプライチェーンの途中までの脱税行為等を防ぎ、物品の移動状況をトラックするためにGST法には電子貨物運送状(E-Way Bill)という仕組みがあります。5万ルピー超の物品を輸送する者は、物品の輸送の前にE-Way Billシステムというポータルサイト(https://ewaybill.nic.in/)を通じてGSTR登録者は電子貨物運送状(E-Way Bill)を発行し、GST当局に物品の輸送の詳細を申告する必要があります。発行時には、固有の電子貨物運送状番号(E-way Bill Number - EBN)が発行され、輸送時にはその通知書の携帯が義務付けられています。また、似て非なる書類として、Delivery Challanもありますがこちらでまとめています。
E-Way Billのコンプライアンス
GST登録者が以下の理由で5万ルピー超の物品の輸送を行う際には、物品の輸送前にForm GST EWB-01にて、電子貨物運送状(E-Way Bill)のPart Aの発行が必要となります(CGST法第68条、CGST法細則第138条1項)。
- 物品の供給(Supply)
- 供給以外の理由で(返品等)
- GST未登録業者からの仕入れ(Inward Supply)
電子貨物運送状(E-Way Bill)はPart AとPart Bに分かれており、Part Aには供給者、受領者、輸送先、該当する請求書、物品の価額等の情報を記入し、Part Bには輸送業者や輸送手段の情報を記入します。Part Aは、物品の輸送を行うGST登録者自身が、Part Bは輸送業者が申告しますが、GST登録者から権限委譲があれば輸送業者がPart Aも併せて申告することも可能です(CGST法細則第138条1項 但し書きの1、2項)。Part Bの記入後に電子貨物運送状(E-Way Bill)が発行可能となります。
なお、5万ルピー超の閾値の判定の際には物品にかかるGSTも含めて判定する必要があるため注意が必要です(CGST法細則第138条1項 説明書き2)。また、CGST法細則では輸送が空輸、海輸、列車輸送の場合、輸送業者が複数関与する場合、輸送手段が複数に分かれる場合等(空輸後にトラック輸送等)の様々なシチュエーションでの電子貨物運送状(E-Way Bill)の発行や更新方法も規定しています。
一方で、たとえ5万ルピー超の物品の輸送であっても、同州内での50km以内の輸送主の事業の場所から輸送業者の事業の場所までの輸送であれば、Part Bを記入しないでの輸送も認められています(CGST法細則第138条3項 但し書きの3)
E-Way Billの有効期限
電子貨物運送状(E-Way Bill)には有効期限があり、輸送距離によって下記の通り規定されています(CGST法細則第138条10項)。
通常の物品輸送の場合
距離 | 有効期間 |
200kmまで | 1日 |
さらに200kmごと | 1日ずつの追加 |
Dimensional Cargo又は少なくとも1つのレグが船舶による輸送を伴う複合輸送貨物の場合
距離 | 有効期間 |
20kmまで | 1日 |
さらに20kmごと | 1日ずつの追加 |
また、誤って発行された電子貨物運送状(E-Way Bill)は24時間以内であればキャンセルすることができます(CGST法細則第138条9項)。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |