インドでは全ての会社に会計監査(Statutory Audit)が義務付けられています。監査人の選任・解任の手続きの流れは以下の通りです。
インドの監査人の選任
会計監査人の選任は株主総会の普通決議事項となりますが、会社設立年度の最初の監査人のみは、設立から30日以内に開催される第一回取締役会で選任されます。
会社は株主総会で選任後15日以内に、会社登記局(ROC)に対して様式Form ADT-1を用いて監査人を登録しなければなりません。登録時には監査人から当該選任を受託した旨を記載した書面(Consent Letter)を添付する必要があります。
インドの監査人の解任
監査人を任期中に正当な理由なく解任することは認められていません。通常は、監査人変更の必要が生じた場合には、辞任という形式を採るのが一般的です。会社は辞任後30日以内に、会社登記局(ROC)に対して様式ADT-3を用いて監査人の辞任を登録しなければなりません。監査人が辞任した場合には3ヶ月以内に臨時株主総会を開催し新たな監査人を選任する必要があります。
やむをえず任期中に監査人を解任(Removal)する場合には、臨時株主総会の普通決議及び中央政府の事前許可が必要になります。非常に煩雑な手続きになりますので現実的ではなく、あくまでも旧監査人と合意のうえ辞任してもらうのが通常です。
インドの監査人の任期・ローテーション
監査人のローテーションが適用されるのは以下の全ての会社です。
- 上場会社
- 払込資本金1億ルピー以上の公開会社(Public Company)
- 払込資本金5億ルピー以上の非公開会社(Private Company)
- 借入・社債等の負債が5億ルピー以上の会社
任期:個人の監査人5年、監査法人10年
また、ローテーション後の再任までのクーリング期間は5年間に設定されています。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |