インド国内にインド子会社が2社あり、一方のインド子会社Aに資金余剰がある一方で他方のインド子会社Bに資金的余裕がない場合には、インド国内でインド子会社Aからインド子会社Bへ貸付を行うことがあります。このような一定のグループ会社間の貸付はみなし配当課税として、株主が課税される可能性があります。
インド所得税法上でのみなし配当
インド所得税法の配当(Dividend)の定義では、上場企業を除く会社の10%以上の議決権を持つ実質的株主に対して支払う前払いや貸付や、会社の株主が10%以上の議決権を持つ実質的株主となっており実質的な利害関係(20%以上の議決権を保有等)を持つその他の会社に支払う前払いや貸付、株主に代わって個人へ行われる支払いは、当会社の累積利益の範囲までは配当に含むと規定しています(1961年インド所得税法第2条22項e号、32項)(2025年インド所得税法第2条40項e号、79項)。
インド所得税では配当課税を受けるのは前払い/貸付を受け取る会社なのか株主なのかは規定されていないものの、株主が配当課税を受ける旨のいくつかの裁判判決が出ております(Commissioner of Income-tax v. Standipack (P.) Ltd. や Apeejay Surrendra Management Services (P.) Ltd. v. Deputy Commissioner of Income-tax)。下記の図表の例で考えてみましょう。
上記の例ではA社(非上場企業と仮定)から他の子会社であるB社への貸付や前払いは、A社の累積利益までの範囲において、X社で配当課税されることになります。ただ貸付が商取引で行われる場合(約定利息が発生し、返済期限が設定されている等)は、みなし配当とはならないとする見解が最高裁判所で示されており、課税性の判断は慎重に行う必要があります。
万が一、A社からB社への貸付がみなし配当に該当する場合は、X社での配当課税に係る法人税率は日印租税条約第10条に基づき10%、租税条約が適用できない場合は1961年インド所得税法第115A条 / 2025年インド所得税法第207条に基づいて20%(+加算税、健康教育目的税)となります。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |


