GST法はGST登録をしている又はGST登録する義務がある者(Taxable person)にGSTを徴収の上、納税することを求めており(CGST法第9条1項)、GST非登録者のGSTの徴収を禁じています(CGST法第32条)。一度GST登録を行うと、月次申告等のGST法の求める各種GSTコンプライアンス遵守が求められるようになりますが、ある州での事業の縮小や法人の清算に伴ってGST登録を抹消することはできるのでしょうか?
GST登録の抹消
GST当局の担当官は自らの決定又はGST登録者からの抹消申請に基づいて、GST登録を抹消することができます(CGST法第29条1項)。下記の場合には、GST当局の担当官はGST REG-17という税務通知を発しGST登録者に聞き取りの機会を与えた上で、GST REG-19という税務通知にてGST登録者のGST登録を抹消することができます(CGST法第29条2項、CGST法細則第22条1,3項)。
- GST登録者がGST法に違反している場合
- 簡易課税制度(Composition levy Scheme)を採用するGST登録者が申告書を期日から3か月を超えて申告しない場合
- 通常のGST登録者(簡易課税制度を採用しない者)が申告書を期日から一定期間にわたって申告しない場合
- GST登録を自主的に行った者が登録から6か月以内に事業を開始しない場合
- 詐欺、故意の虚偽記載、事実の隠蔽によってGST登録行った場合
また、GST登録者が自らの意思でGST登録の抹消申請を行い場合には、GST REG-16で抹消申請を行います(CGST法細則第20条)。GST登録抹消が認められるとGST REG-19にて通知されます(CGST法細則第22条3項)。GST登録の抹消は、GST登録期間中のGST登録者の納税義務等には影響を与えず(CGST法第29条3項)、GST登録の抹消前に全ての納税義務を履行しておく必要があります。
抹消申請後のGSTコンプライアンス
GSTR-3Bの申告義務があるGST登録者でGST登録を抹消した者は、GST抹消日又はGST抹消の税務通知発行日のいずれか遅い日から3か月以内にGSTR-10にて最終申告書(Final Return)を申告する必要があります(CGST法第45条、CGST法細則第81条)。GST登録の抹消に関する税務通知を受領した後にも関わらず、この最終申告書を申告する必要がある点は注意が必要です。
なお、この最終申告書はGSTR-3Bの申告を求められるGST登録者のみに求められる申告書であるため、下記のGST登録者には最終申告書の申告は求められません(CGST法第39条、第45条)。
- Input Service Distributor(CGST法第2条61項参照)
- 非居住納税者(Non-Resident Taxable Person)(CGST法第2条77項参照)
- 簡易課税制度(Composition levy Scheme)を採用する者(CGST法第10条参照)
- TDS徴収義務者(CGST法第51項参照)
- TCS徴収義務者(CGST法第52 項参照)
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |