インドは中央政府に加え28の州と9つの連邦直轄地から構成される連邦制の国家です。そのため連邦法および各州法が存在しますが、憲法第246条 Schedule7は下記の通り「(i)連邦のみの管轄分野」「(ii)各州のみの管轄分野」「(iii)連邦及び各州の共同管轄分野」を定めています。
(i)連邦のみの管轄分野 (Union List)
国防関連、原子力、外国との取引、鉄道、船舶輸送、郵便、銀行、保険、株式取引、標準規格、監査、関税、法人税 等の分野は連邦法の管轄になります。
(ii)各州のみの管轄分野(State List)
一方で各州法が管轄する分野には、公共衛生、病院、土地の権利、水道・ガスの供給、道路、橋、不動産、ギャンブル、同州内の消費税(CGST)、プロフェッショナル税、印紙税 等があります。
プロフェッショナル税や印紙税率が各州で異なることや一部の州のみでギャンブル(カジノ等)が合法であることの理由は各州で法律を整備しているためです。
(iii)連邦及び各州の共同管轄分野(Concurrent List)
結婚・離婚、農地を除く不動産の譲渡、倒産、労働組合、年金・労働者の福利厚生、工場、電気、新聞・書籍・印刷 等の分野は連邦及び各州の共同管轄になります。
不動産関係や労務に関する企業運営をする上で重要になる事項は、連邦法と州法が入り混じり複雑になっているため注意が必要となります。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |