インドの会社設立後は、他国と同様に資本又は負債での調達を行うことが可能です。下記一般的な資金調達手段につき概要を紹介します。
増資(ライツイシュー)
最も一般的な資金調達手段の一つです。既存株主に対して株主割り当て(Rights Issue)を行い、持ち分に応じた新株を割り当てます。既存株主のみから資金調達を行うため、持ち分が希薄化することはありません。尚、後述の第三者割当増資の場合も含めて、定款で規定された授権資本金額以上の増資を行う際には株主総会の特別決議にて授権資本金額を引き上げた後に実施可能となります。増資の実務的な手続きの詳細は、"インドの増資手続きの流れとは?"をご参照ください。
また、株式の発行価格に関しては外国為替管理法(Foreign Exchange Managment Act - FEMA)の価格ガイドラインに準拠する必要があります。
増資(第三者割当)
既存株主以外の株主が新規発行する株式を引き受ける際に採用します。通常インドの証券市場に上場していない企業の場合、非公開会社として定款上株式の公募が禁止されており第三者割当を行う際には私募発行(Private Placement)となります。
株式の発行価格に関しては、前述のライツイシューと同様の取り扱いです。
借入(親子ローン・ECBローン)
インド以外の海外子会社を既に運営している日系企業にとって、親子ローンは最も一般的な資金調達の手段の一つかと思います。インドの親子ローンは外国商業借入(External Commercial Borrowing - ECB)とも言われ外国為替管理法の規制が適用されます。現在資金使途についてはほぼ全面的に解禁されていますが、金利・返済期間等その他の制限がありますので実施の際にはその手続きを事前に確認することをお勧めします。実務的な手続きの詳細は"インドの親子ローン・対外商業借入(External Commercial Borrowing - ECB)規制とは?"をご参照ください。
借入実行前にインド準備銀行(Reserve Bank of India - RBI)へ借入の申請を行わなければならないことと、借入実行後毎月その資金使途につき報告を行わなければならないことからコンプライアンス負荷が一定程度あり少額の借入には向いていません。
借入(地場金融機関借入)
短期の運転資金などについてはメガバンクの現地支店を含む、地場金融機関からの借入も一般的な資金調達のオプションの一つです。場合によっては、親会社からの保証なども合わせて必要になることがあります。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |