インド居住の内国会社が日本の親会社やその他の日本企業にサービスの提供を行う場合には、対価の受領時に日印租税条約にもとづき日本側で源泉徴収税が源泉徴収されます。日本側で源泉徴収された金額(外国所得税額)はインドの所得税申告時に外国税額控除を使用することになります。
日印租税条約第23条2項はインド居住者が日本で租税が課される所得を取得し、日本で直接に又は源泉徴収により納税された税額についてインドでの外国税額控除を認めています。
外国税額控除の適用年度と控除可能限度額
インド所得税法ではインド国外にある国または特定の地域において支払った外国所得税額を、インドにおいて当該外国所得税額に相当する所得が課税される課税年度において外国税額控除が適用できると規定しています(1962年インド所得税法規則第128条1項)(2025年インド所得税法規則第76条1項)。なお、外国所得税額が納付又は控除された所得が複数の年度においてインドにて課税される場合、その所得がインドにおいて課税される割合と同じ割合でこれらの年度にわたって外国税額控除が適用できます。そして、外国税額控除を使用することでインド国外で納税した外国所得税額はインド所得税法の規定する本税、加算税(Surcharge)及び健康教育目的税(Health and Education Cess)と相殺することができますが、利息やペナルティは相殺の対象外です。
また、該当する国外所得に対してインド所得税法が規定する税額又は、該当する国外所得に対してかかる外国所得税額のいずれか低い方を外国税額控除として使用できます。加えて、日印租税条約の規定する税額以上の外国所得税額を納付している場合は、それらの超過分は外国税額控除として使用できません(1962年インド所得税法規則第128条5項)(2025年インド所得税法規則第76条7項)。
内国法人が納付することとなった外国所得税額について外国税額控除を適用しない場合には、日本法人税法では損金算入を選択することができますが、インド所得税法では基本的には損金算入することはできないと考えられます(1961年インド所得税法第40条a項ii号)(2025年インド所得税法第35条a項i号)。ただ、過去にはこの外国税額控除を適用できなかった外国所得税額を1961年インド所得税第37条 / 2025年インド所得税第34条に基づいて損金算入し、納税者有利の判決が出ているケースもあります。
インド側で提出が必要な書類
インド側で外国税額控除を使用する際には下記の書類を準備する必要があります(1962年インド所得税法規則第128条8項)。
①主に下記内容を申告するForm 44(旧Form 67)
- 外国所得税額に相当する所得額
- インド国外で源泉徴収又は納付された税金額
Form 44は、外国所得税額に相当する所得がインドで課税される課税年度の最終日から12ヶ月以内に提出が必要です(1962年インド所得税法規則第128条9項)(2025年インド所得税法規則第76条12項)。また、Form 44が会社によって提出される場合や10万ルピーを超える外国税額控除を利用する個人等によって提出される場合には、Form 44は勅許会計士による証明が求められます(2025年インド所得税法規則第76条16項)。
②所得の種類及びインド国外で源泉徴収された税金に関する証明書(下記ア~ウのいずれか)及び該当する税額が源泉徴収された又は実際に支払われたことを示す書類
- インド国外の税務当局が発行した証明書又は書類
- 源泉徴収側(インド外国会社)が発行した証明書又は書類
- 納税者(インド居住者企業)の署名した証明書又は書類
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |


