インドの延滞利息の計算方法を理解するためには、まずは所得税の納税期日について理解することが重要です。納税期日から遅れて納税した場合には延滞利息が発生しますが、インド所得税法の延滞利息の計算は日割りではなく、月割りであることに注意が必要です。
所得税の納税期日
インドの所得税は、予定納税(Advance Tax)すべき納税額が1万ルピー以上の場合には見積もり税額に対して予定納税方式で年4回の中間納税することが義務付けられています(1961年インド所得税法第208条、209条、211条)(2025年インド所得税法第404条、405条、408条)。四半期ごとの予定納税の納税期限は下記の通りであり、予定納税での納税不足分については翌年の所得税申告時(個人所得税 / 法人所得税)までに自主申告納税する必要があります(1961年インド所得税法第140A条)(2025年インド所得税法第266条)。
| 納税期限 | 納税額 |
| 6月15日 | 見積もり税額の15% |
| 9月15日 | 見積もり税額の45% |
| 12月15日 | 見積もり税額の75% |
| 翌3月15日 | 見積もり税額の100% |
四半期ごとの予定納税での納税漏れがあった場合や納税不足が生じた場合には、延滞利息が発生する場合があり、インド所得税法は以下の3つのケース別に延滞利息を規定しています。
所得税申告の遅延または未申告による延滞利息
この延滞利息が発生するのは、所得税申告を期日後に申告した場合またはそもそも申告しなかった場合です(1961年インド所得税法第234A条)(2025年インド所得税法第423条)。所得税申告の期日から、実際に申告書が申告された日またはベストジャッジメントの終了日等までの期間にわたり、納税不足額に対して単利1%/月で延滞利息が計算されます。
例示:法人Aは130万ルピーの納税が必要でしたが、所得税申告の期日×年10月31日までに所得税申告をせず、×年12月15日に遅ればせながら自ら所得税申告を行いました。なお、法人Aは源泉徴収税のクレジットが65万ルピーあり、予定納税として50万ルピー納税していました。
延滞利息計算:法人Aの納税不足額は15万ルピー(=130万ー65万ー50万)です。所得税申告を2か月遅れて行っているため、この規定に基づく延滞利息は3,000ルピー(=15万×1%×2か月)となります。
予定納税の納税総額が不足していることによる延滞利息
この延滞利息が発生するのは、予定納税での納税義務があるにも関わらず、予定納税を行っていなかったまたは予定納税額が納税必要額の90%未満であった場合です(1961年インド所得税法第234B条)(2025年インド所得税法第424条)。翌年度の4月1日から、税務調査の結果として総所得が確定する日までの期間にわたり、納税不足額に対して単利1%/月で延滞利息が計算されます。なお、予定納税義務を怠っていた納税者が、所得税申告前に自主申告納税する場合には、この延滞利息は翌年度の4月1日からその自主申告納税した月までの期間についても発生します。下記の例示は自主申告納税時の延滞利息の計算です。
例示:法人Aは130万ルピーの納税が必要でしたが、予定納税として90万ルピー納税していました。残りの40万ルピーは、所得税申告前に自主納付納税として×年10月25日に納税を行いました。
延滞利息計算:法人Aの行った予定納税額の90万ルピーは、予定納税が必要であった130万ルピーの90%にあたる117万ルピー未満でした。納税不足額に40万ルピー(=130万ー90万)に対して、7か月(×年4月1日から×年10月25日)分の延滞利息が発生します。つまり、この規定に基づく延滞利息は28,000ルピー(=40万×1%×7か月)となります。
なお、税務調査で追徴課税通知(Notice of Demand)が発行され総所得が確定し、その後も30日を超えて納税を怠った場合には、納税日まで納税不足額に対して単利1%/月で延滞利息が計算されます(1961年インド所得税法第220条2項)(2025年インド所得税法第411条3項)。
四半期ごとの予定納税が不足していることによる延滞利息
この延滞利息が発生するのは、予定納税での納税義務があるにも関わらず、四半期ごとの予定納税額が下記の通り一定割合以上不足していた場合です(1961年インド所得税法第234C条)(2025年インド所得税法第425条)。ただし、予測できない所得の性質を鑑み、譲渡所得、配当所得、ギャンブルや宝くじ等の所得に起因してで予定納税が一時的に不足したもののその後の予定納税のタイミングで納税している場合は、この規定の延滞利息を支払う必要はありません。
- 6月15日までに行う第1四半期の予定納税が申告所得税額の15%未満である場合(予定納税額が申告所得税額の12%以上である場合を除く)
- 9月15日までに行う第2四半期の予定納税が申告所得税額の45%未満である場合(予定納税額が申告所得税額の36%以上である場合を除く)
- 12月15日までに行う第3四半期の予定納税が申告所得税額の75%未満である場合
- 翌3月15日までに行う第4四半期の予定納税が申告所得税額の100%未満である場合
各納税割合に対する不足額に対して単利1%/月で3か月分(上記4つの内、上3つ)または1か月分(上記4つの内、下1つ)の延滞利息が計算されます。
例示:法人Aは100万ルピーの納税が必要でしたが、下記の予定納税を行いました。
- 第1四半期の予定納税:10万ルピー
- 第2四半期の予定納税:20万ルピー
- 第3四半期の予定納税:30万ルピー
- 第4四半期の予定納税:39万ルピー
延滞利息計算:この規定の延滞利息は、下記の表のとおり合計で10,600ルピー発生します。なお、合計予定納税額(99万ルピー)が納税必要額(100万ルピー)の90%以上であるため、1961年インド所得税法第234B条 / 2025年インド所得税法第424条の延滞利息は発生しません。
| 納税すべき額(a) | 納税総額(b) | 納税不足額(b)-(a) | 延滞利息 | |
| 第1四半期 | 15万ルピー | 10万ルピー | 5万ルピー | 1,500ルピー(=5万×1%×3か月) |
| 第2四半期 | 45万ルピー | 30万ルピー | 15万ルピー | 4,500ルピー(=15万×1%×3か月) |
| 第3四半期 | 75万ルピー | 60万ルピー | 15万ルピー | 4,500ルピー(=15万×1%×3か月) |
| 第4四半期 | 100万ルピー | 99万ルピー | 1万ルピー | 100ルピー(=1万×1%×1か月) |
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |


