支店の閉鎖は株式会社の閉鎖に比べ、比較的容易に行うことが可能です。インド事業の撤退の他にも株式会社への移管などの理由により支店を閉鎖するケースもあります。
後者の場合、支店を株式会社に変更することはできないため一度支店を閉鎖し、再度株式会社を設立する必要があります。その際には各契約のまき直し、従業員の雇用契約の切り替え、支店の資産の株式会社への売却等が求められます。
支店の閉鎖手続きは以下の1~4の流れになります。
1. オペレーションの閉鎖
支店の貸借対照表に計上されている債権の回収及び債務の支払いを行います。現金以外の資産は売却し現金化します。
従業員の雇用契約や事務所の賃貸契約の終了も含め、その他契約関係も解消します。
2. 会計帳簿のクローズ
閉鎖基準日を設定し基準日現在の財務諸表を作成します。当財務諸表は勅許会計士の監査を受ける必要があります。
その後、税務申告を行い税務清算証明書及び異議なし証明書(NOC)を取得します。税務申告後には支店のPANやTANを抹消します。
3. 法定閉鎖手続き
a) 会社登記局登録の抹消
異議なし証明書(NOC)を会社登記局より取得します。その際にFC2 /FC3 /FC4の提出が必要になり、FC2には監査人の証明書/親会社からの証明書/支店からのUndertaking letterを添付します。
b) インド準備銀行への閉鎖届出の提出
認可銀行(Authorized Dealer Category-Ⅰ)を通してインド中央銀行に支店閉鎖を申請します。支店開設時の許可書のコピー/監査人の証明書/インドにて訴訟案件を抱えていない事に対する親会社の証明書/会社登記局のNOCを添付します。
4. 残金の送金
本国に残金を送金して、支店の閉鎖手続きは完了になります。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |