間接税・関税中央委員会(Central Board of Indirect Taxes and Customs - CBIC)は2020年6月10日付で通達(No.140/2020)を発し、取締役報酬に関するGST課税の有無について明確化しました。
GST法には取締役(Director)と従業員(Employee)の区分を定義する明確な規定が存在していません。そのため以前より、取締役兼従業員として勤務する取締役に支払われる報酬がGSTの課税対象になるか否かの意見が分かれ各地で係争になっていました。
2017年CGST法に拠ると、”雇用関係に基づき従業員(Employee)から雇用主(Employer)提供された役務の提供”は、GSTの課税対象にはならないと規定されています。一方で、役務の提供が雇用関係に基づかない場合、役務提供に対する報酬はGSTの課税対象になります。
その場合、2017年6月28日付の通達(No.13/2017)に基づき役務の提供を受けた会社側は報酬支払時にリバースチャージ方式にてGSTを納税する必要があります。
会社と取締役の関係性を判断するのには、下記の項目により分析可能です。
- 取締役の役務提供活動が雇用関係(雇用契約書)に基づくか否か
- 支払報酬に対する源泉徴収税が、インド所得税法第192条の給与に関する源泉税か、又は194J条のプロフェッショナルサービス(専門家サービス)に関する源泉税のいずれの対象か
- 給与の勘定名(源泉徴収も2と連動)で会計上記帳されているか否か
上記に基づき、会社と雇用関係にない取締役が会社に役務提供していることが判明した場合、会社は取締役に支払う報酬額の18%をリバースチャージ方式で納税する必要があります。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |