日本法人の従業員がインドに出張しインド国内で業務を行う場合、当業務に関する給与が日本法人から支払われる場合であっても、当給与はインド国内源泉所得に該当します。よって日本から受け取った給与のうち、インド国内源泉所得に相当する分はインドで課税対象になります。
ただ、出張するたびに相手国で納税義務が発生してしまっては実務上不便が多いことを考慮し、日印租税条約第15条では下記の通り「短期滞在者免税」を設けています。
短期滞在者免税
下記の3つの基準を満たす場合は、日本からの出張者(日本の居住者)はインドでの勤務について取得する報酬は、日本でのみ所得税の課税対象となり、インドでの納税義務は発生しません。
- 滞在日数基準:報酬の受領者が当該課税年度又は前年度を通じて合計183日を超えて相手国(上記例ではインド)に滞在しないこと
- 雇用者居住地基準:報酬が相手国の居住者でない雇用者又はこれに代わる者から支払われること
- PE負担基準:報酬が雇用者の相手国内に有する恒久的施設(Permanent Establishment - PE)によって負担されないこと
従って日本からの出張者のインドでの滞在日数が、インドの税務年度(4月~翌3月)で合計183日を超過するなど、短期滞在者免税の3つ基準のうち1つでも基準を満たさない場合には、インドでの勤務について取得する報酬はインドで個人所得税の課税対象となります。
インド駐在員の場合
日本の所得税法では、1年以上の予定で日本を離れる場合は渡航の翌日から「非居住者」となります。そのため通常は駐在員(インドの居住者)のインド勤務での給与はインドで納税関係は完結し、日本での納税義務は発生しません。日本に一時帰国した際の日本での勤務に対する報酬は、日本国内源泉所得であり、短期滞在者免税が適用されない場合は日本で納税義務が発生します。
注意が必要なのは「2.雇用者居住者基準」です。インド駐在員の場合は183日以上日本に滞在することは考えにくいですが、日本法人から留守宅手当等の報酬を受領している場合があります。日本へ一時帰国中の日本勤務に対する留守宅手当は「2.雇用者居住者基準」を満たさず、日本での所得税の課税対象となる可能性があります。
※本記事は短期滞在者免税に関する183日ルールであり、インドで居住者/非居住者の税務上の居住ステータスを区分する基準である「該当年度に182日以上インドに滞在している」とは別の論点になります。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |


