インドの平衡税(Equalization Levy)導入
インドでは2016年6月に世界に先駆けてGoogle、Facebook、Amazonなどのグローバル企業からのデジタル広告収入に課税するため、平衡税(Equalization Levy)を導入しました。また、2020年4月1日より非居住者による電子商取引に関しても、2%の平衡税の徴収が義務付けされました。
源泉徴収税率の決定
平衡税導入以前、非居住者である多国籍企業からソフトウェアやソフトウェア使用権等を購入する場合、当該費用の支払い時にはロイヤリティ(使用料)として10%の源泉徴収を行うのが一般的でした。
一方で平衡税の導入後、Saasサービスなどソフトウェアの使用がオンラインで提供されるようになり、当該サービスが10%の源泉徴収対象であるロイヤリティなのか、電子商取引として2%の平衡税の対象となるのかその区分が曖昧なため、企業毎に解釈が異なるという問題が発生しています。
具体的には、保守的な企業においては非居住者からのソフトウェアの購入等に関して、支払い企業側でロイヤリティとしてのTDS10%を源泉され、非居住者企業も平衡税としての2%の納付義務が生じ、合計12%の税負担が生じる可能性があります。
またTDSと平衡税の双方を負担した場合、非居住者企業はいずれかの税額控除を居住国で利用できない可能性もあります。本問題はインターネットを介したホテル予約などを含む様々な取引に平衡税はかかわる為、多くの企業が懸念している問題です。
今後、インド国内へ電子商取引サービスを提供する日本企業は自社のサービスがインドの平衡税に該当するか否かの慎重な判断が求められます。又、ロイヤリティのTDSと平衡税の二重課税を避けるため、以下の論点については事前に整理を行い少なくと自社で、いずれの立場を主張するかを決定しておき、支払い企業とも事前に調整を行う必要があります。
- サービスの提供者がインド居住者であるのかインド非居住者であるのか
- サービス提供者がインドにPEを有するのか否か
- ソフトウェアサービスの内容が電子商取引サービスに該当するのか
- 取引金額総額が閾値(年間2000万ルピー)を超えるか否か
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |